TAKATA 312-ifix juniorの構造をチェック
ファブリック(生地のカバー)はフックやゴムで取り付けられており、すべて外して洗うことができます(ただしウレタンは水を含むとなかなか乾かないので、ウレタンだけのパーツは洗わずに干すだけに留めるのが無難です)。日本の風土を意識して、全面に立体メッシュの生地を採用。耐久性、耐候性のある素材で、汗の吸排湿性能に優れています。本体樹脂に特に通気のための穴を沢山あけるようなことはしていないのですが、比較的、風が通りやすく、蒸れにくい形となっているように思います。
本体の構造を知るためにファブリックを外してみましょう。背もたれ面のカバーを外すときは、座面と背もたれをジョイントしているピンを抜いてから行います。
繊細な設計が好印象
強度が要求される座面と背もたれのジョイント部分は、樹脂の強度を高めるための巧みな設計が見られ、しかも仕上がりも美しく、日本メーカーらしいこだわりを醸し出しています。
大型のヘッドレストは衝撃を受けた時に適度にたわむ空間を確保。
肩ベルトガイドもシンブルで取扱いしやすいものですが、さらに性能を突き詰めるとしたら、ガイド位置や角度、スリットの形状は工夫できる余地があるように思います。
車のシートベルト取付位置は様々なパターンがあります。現在のガイドは、座席後方からシートベルトが伸びてくる場合に最適化されています。座席背もたれの直上からシートベルトが出ているようなケースでも、出来るだけ迂回せずに直線状に子どもの骨格に届かせるための工夫が出来ればより良いと思います。
また、乗せ降しの際にシートベルトを引き出したり、戻したりしますが、スリットでベルトがねじれて引っかからないための理想の形というものもあります。ねじれないようにスリットを細くするのは逆効果で、ひょうたん型のスリットや、スリットを広げ、縁のRを緩やかにするだけでも。格段にシートベルトの通りがスムーズになり、扱う者のストレスがなくなります。これは、すでに車のピラーについているベルトガイドのパーツが実現しているので、修正は容易と思います。
座面の段差は、衝撃時に坐骨をキープして、体が不用意に投げ出されるのを防いでくれます。
触れば触るほどに、TAKATAの安全へのこだわりと、真面目なものづくりの精神を感じます。TAKATA 312-ifix juniorのISOFIX以外の本体構造は、旧モデルですでに実現していたものですが、「大柄で重い」といういうリスクが、ISOFIXの採用で一気に解消され、逆に良い面が強調され、完成度の高いものに昇華しました。
ヨーロッパ基準の取り込みによって安全性のベースアップができた今、TAKATAのような、高い技術を持ち、真面目で丁寧なものづくりが出来るメーカーには、世界をリードする製品を作ってもらいたいし、それが十分可能であることを実感させてくれました。