6つの通貨に投資するファンドのようなもの
ドルインデックスの活用法
外国為替取引というのは、一方の通貨を売ると同時に他方の通貨を買うという取引です。そして、各国の経済事情は決して一律ではなく、それぞれに異なります。ファンダメンタルズとの比較感で、米国経済は日本経済に劣後している一方、イギリスに比べれば優位である、という状態になると、前出のように、対円では米ドル安、対英ポンドでは米ドル高、になるのです。
しかし、これではなかなか米ドルのトレンドが分かりません。そこで、ドルインデックスを見ます。ドルインデックスは、次の6つの通貨から構成されています。
ユーロ(57.6%)
円(13.6%)
英ポンド(11.9%)
カナダドル(9.1%)
スウェーデンクローネ(4.2%)
スイスフラン(3.6%)
ちなみにカッコ内の数字は構成比率です。ドルインデックスは、言うなれば複数通貨を組み入れて運用する米ドル建てのファンドのようなものです。
ドルインデックスの活用法
このように、ドルインデックスというのは、それを構成している6つの通貨に対する、総合的な米ドルの強弱を示す指標です。これをどう見るか、ということですが、私は常に米ドルの長期的なサイクルを見るのに役立てています。外国為替レートというのは、一定のサイクルで動く傾向があります。たとえば米ドルであれば、5年サイクルで米ドル高、米ドル安を繰り返すというようなものです。もちろん、多少のタイミングのずれは生じるものの、長期的なトレンドを見ると、一定のサイクルを描いているケースが見受けられます。
そのサイクルの転換点を見るのに、ドルインデックスが役に立つのです。外国為替レートというのは、一度トレンドが発生すると、それに沿った動きがしばらく続く傾向があります。
たとえば米ドル高のトレンドが発生したとしましょう。この局面で米ドルの売りポジションを持つというのは、まさに相場のアヤを取りに行くものなので、利食いを浅くしなければなりません。米ドル高トレンドの中で米ドルをショートするのは、トレンドに逆らったポジションを持つことになるからです。逆に、米ドルをロングするのであれば、トレンドが続いている最中は、積極的に利乗せをするという戦略が有効になります。
このように、トレンドに応じた投資戦略を考えるうえで、ドルインデックスは有効な判断材料になるのです。