ゲリラ豪雨は予測できる?
「ゲリラ豪雨」とは2008年頃から一般的になった「局地的豪雨」のこと。その特徴を簡単に言うと、高い気温と湿度の高い空気がぶつかることにより、積乱雲が急速に発達する条件が揃うと発生する降雨現象です。その発生エリアが狭い範囲であることや、積乱雲があまりに急速に発達するため、台風や前線による雨と違って、発生の予測は難しいとされていました。ただ、これも気象庁のドップラーレーダーと呼ばれる雨雲や大気の状態の観測網が整備されることにより、かなりの精度で発生の予測が可能になってきています。首都圏であれば携帯やスマートフォンで「東京アメッシュ」などのサイトでチェックしていれば雨雲の発生は確認できるし、「ウェザーーニュース」などの気象情報会社に登録しておけばゲリラ豪雨の発生を事前に「アラートメール」や「プッシュ通知」によって知ることもできるようになってきています。
また気象庁の天気予報で「大気の状態が不安定」というような語句が入っているときは、積乱雲の発達が予測されていますので、急な「局地的豪雨」の発生に注意しないといけません。
ゲリラ豪雨と台風・前線による豪雨の違い
ゲリラ豪雨は短時間で集中的に降雨現象が発生するものの、その多くが数十分~一時間程度で止んでしまいます。そういう意味では、台風や前線などの降雨によるものとは被害の形態や対処の方法が異なります。ゲリラ豪雨の被害は雨が降っている時間帯と路上などに溜まった水の被害を免れればさほど恐れる必要はありません。これに比べて台風や前線などによる長時間の降雨は「河川の氾濫」や「広範囲の浸水被害」をもたらします。ゲリラ豪雨の発生時にも過去、浸水被害は発生していますが、今のところ、首都圏ではこの数年、国や都の治水計画が進み、その被害程度は河川の整備や巨大な地下貯水池などの新設によって、大幅に改善されています。ただし現在それらの治水計画は毎時50mmを基準にしたもの。それを越えたものが数時間も続いてしまえば排水機能はオーバーフローしてしまい、河川はあふれ、浸水被害が拡大してしまいます。実際に、最近の「ゲリラ豪雨」の降雨量は毎時50mm~100mmを越えることもあり、世界的な気象の傾向である「シビア・ウェザー(極端な気象現象)」が進行すれば、その被害拡大は免れないでしょう。
街の「ハイリスクエリア」はどこにある?
ゲリラ豪雨は首都圏などの都市部で数多く発生し、2008年には「地下室での溺死」「車内での閉じ込めによる溺死」が起きています。特に都市部では「街の高低」があまり意識されていません。江東区などの「海抜0メートル地域」などではその地域の低さを意識している住民は多いでしょうが「渋谷区」「目黒区」など河川が街を縦断しているにもかかわらず、実際に生活している人は被害に遭うまで「浸水リスク」をあまり意識することはないと言ってもいいでしょう。例として渋谷区の浸水リスク(東海豪雨を想定)を表した図を用意しましたが、その名の示すとおり、渋谷駅は周囲を高台に囲まれた谷底にあります。数年前の大雨でガード下で何台もの車が水没していたのを確認しました。
都市部には集中豪雨が発生すると意外な「危険箇所」が発生します。河川の周囲に限らず、いくつかの坂の下にある地域。排水機能が追いつかなければ無数にある「アンダーパス」(道路や線路が交差する低い箇所)も車両が水没する場所になります。ゲリラ豪雨の発生時間帯は視界も悪く事故も発生しやすいので、安全な場所に車を移動させて十分に天候が回復してから移動するように。その際、土地の高低、アンダーパスの危険を意識して行動することが必要です。
■豪雨被害のハイリスクな場所
○河川の流域
○坂の下など水が集まる場所・低地
○過去浸水被害のあった地域
○地下室・地下駐車場
○アンダーパス(立体交差)
【関連リンク】
東京アメッシュ
ウェザーニュース