悪いものは悪い、それは絶対に必要な教育
子どもは怖いものが実は大好きです
閻魔大王、餓鬼など、まさに「地獄絵」が描かれているこの絵本。本来「不適切な描写がある」どころの騒ぎではないと思われる絵本なのですが、主な読者は「はだしのゲン」のときに規制対象におかれた小学生よりも小さい子ども。家庭で親がその年齢の子どもに対し、読み聞かせることを目的として購入しています。
この絵本で語られているのは「悪は存在する、そしてそれらは処罰されるものである」という教え。古くから日本に伝わり、脈々とそれこそ口伝で伝えられたことがいまも、しっかりと語られているのです。
昔は同居している家庭が多く、「そんなことをするとお天道さまの下を歩けなくなるよ」などとおばあちゃんに言われて育った子どもは、たくさんいました。いつのまにか人は、柔らかいもの、ソフトなもの、心地いいものだけを手元に置き、それを継承していくようになりました。人によっては、この口伝えを体験せずに大人になるケースもあるかもしれません。
どれほど心地よさの中に子どもを置きたいと願っても、それが子どもの幸せを願ってのことだとしても、いずれ子どもは社会に出ていくのです。そのとき待っている現実は、はたして心地よく優しいものだけでしょうか?
悪いものは悪い、そして、それに対して社会はどのように対応を取るのか。そのためにはどう考え、どう感じどう生きていくべきなのか。昔話の訓示を活かし、それを自分の声で大切な子どもに伝えていくということ。もう一度、親として考えてみませんか?