株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

約2年半で株価は2.4倍に!長期成長株のプライスライン(2ページ目)

プライスライン・ドットコム(PCLN)は航空券、ホテル、レンタカー、パッケージ旅行などを取り次ぐオンライン旅行代理店です。約2年半で株価は2.4倍に。今回はその成長の要因を探ります。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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高成長を続けるプライスライン

高成長を続けるプライスラインの業績推移

高成長を続けるプライスラインの業績推移(クリックで拡大)

2013年第2四半期では、売上高が前年同期比+26.6%増の16億8000万ドル、調整済み1株利益は同+23.6%増の9.70ドルでした。ともに事前のアナリスト予想平均を上回り、株価も大幅上昇しました。

グロスの総予約額は初めて100億ドルを超えました。特に全体の85%を占める海外予約が+44%増となり、また国内も+12%増ながら、成長は加速しています。グロス総予約額に対する同社粗利益の率は13.7%で従来と変わりません。

2013年第3四半期については、調整済み1株利益は15.30~16.30ドル(30%前後の成長)、売上高は+23~30%増を見込んでいます。

欧州とBooking.comが成長の原動力

同社の過去の業績グラフを見ると、毎年7-9月期が稼ぎ時となっています。これは主力の欧州市場で夏のヴァカンスシーズンに当たるためと思われます。

米国と違い、フランスでは4週間の休暇が強制されるなど、欧州人にとって夏期休暇は人生最大の優先事項なのです。最重要イベントなので欧州危機にも関係なく、旅行は遂行されます。欧州人は夏の一大旅行を謳歌するために、残り11カ月を渋々働いている様子です。

米国ではマリオット、スターウッド、ヒルトン系列など、ごくわずかのグループ企業が大半のホテルを運営しているので、ホテルのサイトから直接予約することも多いと思われます。しかし欧州は、観光名所ごとに独立した小さなホテルが無数にあるので、洗練された米国流のオンライン予約サイトで検索する利便性が増し、同社が欧州に進出したことは大きな飛躍に繋がりました。

同社にとって、一つの買収(Booking.com)がその後の株価の大きなブレークスルーに直結したのです。鍵となる買収や新商品の開発、経営陣の一新など、何かの変革は株価を10倍以上にする力があるという典型例です。

2009年以降の全ての四半期の平均成長率は、売上高が+29.0%増、利益が+49.9%増と非常に高い会社です。そして粗利益率は2009年の53.9%から2012年の77.6%まで連続的に伸びてきました。ROE利益率は40%を連続的に超える高さです。バランスシートは強いキャッシュフロー創造力を背景に健全です。
強いキャッシュフロー創造力を背景にバランスシートは健全

強いキャッシュフロー創造力を背景にバランスシートは健全(クリックで拡大)

高い成長率と利益率を背景に、株価もEPS額の階段に合わせるように上昇が続いてきました。株価はEPSの増加を先読みするような上昇が続いています。ただ、高い成長率を見せてきた同社ですが、そのピークは2011年頃(利益+77.7%増)にあり、同年を頂点に成長カーブは山型を描いて下がっているところです。

今後は買収したカヤック(Kayak)で新たな顧客層を掘り起こせるか、アジアでの成長を取り込めるかに株価の持続的成長がかかっています。すでに時価総額は5兆円に迫り、インターネット会社全体でも巨大となりました。ライバル環境も厳しくなると思われますが、これまでの株価の成功モデルは記憶に留めるに値すると思います。

参考:グローバルグロースレポート

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