職場としての美術館
丸亀市猪熊弦一郎美術館(左)は丸亀駅(右)の目の前にあります
美術館における学芸員の役割
丸亀市猪熊弦一郎美術館学芸員の中田耕市さん
今回お話を伺った中田耕市さんは、丸亀市猪熊弦一郎美術館の「学芸員」。
この美術館は市が運営しているように思われますが、公益財団法人ミモカ美術振興財団が運営しています。
中田さんは財団職員という立場で、財団を運営するための事務業務もこなしながら、学芸員として、展覧会や美術館でのイベントを企画しています。
学芸員の仕事1:展覧会企画
企画というと、会議室でウンウン悩んでいるようなイメージがありますが、実際はどうなのでしょう。「展覧会によりますが、最初はアーティストのアトリエに行って話をしたり、展覧会に行って作品を見たりしてから、企画書をつくります。それを学芸会議に挙げて、他の学芸員たちとブレーンストーミングをしながら詰めて行きます。財団の理事会や丸亀市にもプレゼンテーションをして、展覧会開催に至ります。だいたい2年くらい先までの展覧会は決まっています」(中田さん)。
膨大な資料をもとに、展覧会の内容・構成を考える。パソコンでのデスクワークも多い。
「まずはじめは大竹さんのアトリエを訪問して、作品を見せてもらったり、これからの大竹さんの予定を伺いました。そこから展覧会の構想を練りはじめたのです。
大竹さんも出品される大きなアートイベント『瀬戸内国際芸術祭』の開催時期である2013年夏に合わせて新作展をしたい、と企画書を書き、学芸会議に提案したのが2009年ごろ。2010年に財団の理事会や市の担当部署の承認を経て、大竹さんの展覧会開催が決定しました。
それからは電話やメールでのやりとりと並行して、大竹さんのアトリエを何度も訪問し、打ち合わせを重ねながら、どんな展覧会にするのか、どんな作品を出品するか、といった具体的な内容を詰めていきました。
同時に、展覧会を実現するために欠かせない予算の調整や外部資金の調達といったデスクワークもこなしました」(中田さん)。