事例その1 取り立てのせいで精神的に苦痛を受けた
毎月のお金のやりくりで思い悩む……その精神的な負担に対する損害賠償が「慰謝料」ですかば
1つは、消費者金融会社からの取り立てそのものに対する慰謝料です。つまり、支払う必要のないお金を何年にもわたって請求され続けてきたことによって精神的苦痛を受けたので、それに対する穴埋めとして慰謝料を支払え、という理屈です。
確かに、借金問題というのは、毎月毎月支払日までのお金の工面に腐心し、心に余裕がなくなり、気持ちが不安定になる等、精神面の負担はとてつもなく大きいものがあるため、慰謝料は切実な問題です。
これについては、取り立てが「不法行為」と認められたケースで、15万円程度の慰謝料が認められた裁判例があります。ですが、先述のとおり、不法行為と認められる事案は残念ながら多くはないため、このタイプの慰謝料が認められる可能性は低めでしょう。
事例その2 業者に取引履歴の開示を拒否された
2つめは、消費者金融会社が取引履歴の開示をしないことに対する慰謝料です。過払い金返還請求をするためには、業者から過去にいついくら貸し借りしたかという履歴(取引履歴)を開示してもらって計算する必要があります。この開示を業者が拒否した場合に、借金を抱えているのに適切な対応ができず精神的に不安定となったので慰謝料を支払え、というタイプです。
これについては、最高裁判所の判例が確立しており、原則として、開示を拒否すると慰謝料を支払わなければならないとされています。もっとも、現在ではこの判例が出たおかげもあり、表立って開示を拒否する業者はほとんどいませんので、これが直接問題となることは少ないでしょう。
以上のように、過払い金については、慰謝料請求はややハードルが高いといえるでしょう。
戻ってきた過払い金に税金はかかるの?
ところで、手元に無事返ってきた過払い金に対して、税金はかかるのでしょうか。過払い金のマイナスの付随物ということで、ここで合わせて説明します。そもそも、過払い金というのは、本来は自分のお金であったものなのに、知らず知らず言われるがままに渡してしまったお金に過ぎません。ですので、これが返還されたとしても、それは最初から自分のお金なのであって、所得にはなりませんので、原則として税金は課されないことになります。
ただし、借主が事業者で、消費者金融会社に支払った額が各年分の各所得の必要経費に算入されていた場合には、これを修正する必要があります。
また、すでに説明したように、過払い金には利息を乗せて請求することができますが、この利息分については、支払を受けた年の「雑所得」となり、総収入額に加算されます。
あきらめないで!相談してみよう
このように、過払い金は、元本以外にも請求できる「オマケ」が多くあります。弁護士費用や慰謝料は、裁判で認められる可能性は必ずしも高くはないかもしれませんが、判例上は未だ明確な決着はついておらず、様々な判決が出ているところです。ですので、請求してみる価値は十分にあります。精神的な負担を感じている人や、弁護士・司法書士に支払う費用の面で困っている人は、これらも合わせて請求することも視野に入れて、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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