個人向け国債の表面利率は6ヵ月振りの低下
個人向け国債の金利動向は?
2013年の募集は、1月(第32回)の表面利率は0.07%からスタートし、市場金利の低下とともに2月募集(第33回)から4月募集(第35回)までは最低保証金利である0.05%が適用されました。しかし、4月半ばから市場金利は一転して上昇に転じたことから、5月募集(第36回)の表面利率は0.12%に跳ね上がり、6月(第37回)、7月(第38回)の表面利率は0.14%まで上昇。上昇を続けていた表面利率が一服したのが、8月募集の(0.12%)なのです。
ちなみに、6月、7月の表面利率0.14%という水準は、2012年4月募集の第23回債以来のことです。
新窓販国債も表面利率の上昇は一服
先に述べたように8月の個人向け国債の募集は3年物しかありませんので、毎月募集・発行が行われている新窓販国債の表面利率も見てみましょう。8月発行(第331回)の2年物の表面利率は0.1%です。6月(第329回)、7月(第330回)発行の表面利率は0.2%だったので、新窓販国債の2年物も個人向け国債の3年物同様、8月に表面利率を引き下げたのです。この原稿を書いている時点では、5年物の新窓販国債の発行条件は決まっていません。2年物や個人向け国債の3年物と同じく表面利率の引き下げがあるかもしれませんが、5年物は既に7月(第113回)に表面利率は0.1%(6月=112回は0.4%)引き下げられているのです。このため、8月発行は7月と同じ0.3%かもしれません。8月発行の新窓販国債の発行条件は、8月14日に決まる予定です。
10年物の新窓販国債の表面利率は、6月、7月、8月(共に第329回)の表面利率は0.8%でした。3月、4月、5月(共に第328回)の表面利率0.6%が引き上げられてから、横ばいで推移しています。
9月募集の個人向け国債は期待薄
9月の個人向け国債は、3年物、5年物、10年物の全てが3ヵ月振りに募集されますが、足元の市場金利の水準を見る限りは、表面利率が引き上げられる可能性は少ないと思われます。市場金利の代表である長期金利は、5月23日に瞬間1.0%を付けた後は低下し、7月は概ね0.78%~0.89%程度で落ち着いています。日本銀行が国債の買いオペレーションの方法を変更したことがその要因と考えられます。また、財務省のHPにアップされている金利情報を見ると、2年、3年、5年の金利も低下傾向にあります。日本株が急騰して、機関投資家が債券売り株式買いという取引を活発化させれば、市場金利も再び上昇していくこともありえるのでしょうが、例年8月は機関投資家なども活発な取引を控える(外国人投資家も含む)といわれています。
マーケットに「絶対」はありませんので、約1ヵ月の間に市場金利が急騰する可能性はゼロではありませんが、マクロ、ミクロの経済データなどを見る限りでは7月の動きと大きく変わらないと思っています。
あくまでも筆者の私見に過ぎませんが、9月募集の個人向け国債、新窓販国債の表面利率が引き上げられる可能性は低いといわざるを得ません。預貯金同様、国債が脚光を浴びるのはもう少し先になると思われます。
なお、2013年12月募集より、個人向け国債5年、10年も毎月募集になることが既に決まっています。
【関連記事をチェック!】
個人向け国債の金利の推移
高利回り社債をゲットするためにやっておくべきこと
物価上昇と長期金利の関係は薄い?
利回り投資の妙味が出てきたJ-REIT