業績規模は小さいが急成長中のExOne
ExOne社の売上規模は小さく、2012年はまだ赤字でした。2013年は売上+76.1%増が予想され、利益はぎりぎり黒字転換することが見込まれています。株価はすでに将来大きく利益が出ることを織り込んでいるので、今期予想利益に対してのPERは3000倍近いものともなっています。そのようなPERでも2014年の利益2000倍以上を目指し、毎月株価は高値を更新できているのです。
トップ2の3Dシステムズ社とストラタシス社は競争激化
最大手の3Dシステムズ社はコンスタントに売上高が30~50%増程度で伸び続け、2013年の予想一株利益は+27.3%増、2014年は+24.1%程度が予想されています。PERは44.7倍で、ROEは前期18%台でした。2位のストラタシス社の売上高は3Dシステムズに迫っており、2013年の予想一株利益は+29.0%増、来期は+31.3%増の成長が見込まれます。2012年のROEは6.8%でした。
ちなみに日本の3Dプリンター関連銘柄のROEはいずれも1~3%程度です。
ストラタシス社は、米ミネソタ州ミネアポリスにあった同じ社名の会社と、イスラエルのObjet Ltd.という 3Dプリント会社が合併して 2012年にできた企業です。そしてさらに2013年6月、ニューヨークにあるMakerBot社という個人向けデスクトップ 3Dプリントのリーダー企業との買収を発表しました。買収金額は約400億円にもなります。これによって同社は、3Dシステムズ社が先行する個人向けデスクトップ 3Dプリンターの「Cube」というシリーズを追いかけることになり、競争が激化しそうです。
1980年代にマッキントッシュが登場した時と同じような状況
追われる側の3Dシステムズ社も、金額規模は小さいですが、複数のそれぞれに強みを持つ3Dプリンター関連の会社を買収しています。そのうちの一つであるフランスの3Dプリンターは、ステンレス、鉄、アルミ、その他の合金を材料に立体を造る技術があります。これはExOne社の持つ強みと対抗するものです。
3Dプリンターの今後の発展の一つは、材料の多様化にあります。従来は樹脂などの柔らかいものを主体とするなど、材料に制限がありましたが、今後は硬い金属を加え、制限を取り払う方向にあります。つまり、より何でもできるという「ドラえもん」的方向に向かっています。
成長激しい3Dプリンター業界において、他社の強み分野を買収によって一気に強化しようとする動きが見られます。これから業界内で競争激化し、価格も下がる方向にあると思われます。値下げによって、ライバル同士で体力消耗合戦になる恐れも指摘されます。最終的にはパソコンと同様にそうなるでしょう。
しかし現段階はまだ発展途上期であり、価格がさらに下がることで消費者層が増えるほうにメリットがあると思います。パソコンでいえば、80年代に初めてマッキントッシュが出てきた時にあたります。
参考:グローバルグロースレポート
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