結婚して改姓することのメリットとデメリット
実際に改姓を体験した周囲の既婚女性に感想を聞いてみると、苗字が変わることで、各種の会員登録等の変更手続きが面倒、といった意見がよく聞かれます。また、仕事をしている女性の場合、苗字が変わることで取引先や社内で自分と認識してもらえず、不便なことがあったり、今までのキャリアが中断されたような気がするなどの意見もありました。昔と比べると、結婚後も仕事を続ける女性が増えていますから、職場での改姓の影響への懸念は無視できない声になってきています。また、改姓を嫌って、仕事上では便宜的に旧姓を使い続ける人もよく見かけます。しかし、逆に
「結婚したんだなぁと、実感できる」
「新しい人生が始まる気がして、新鮮な気分」
「好きな人と同じ名前になれてうれしい」
「○○さん、と新しい名字で呼ばれて、ドキドキした」
など、姓が変わることを前向きに受け止める感想も聞かれます。
それでは一般的には姓が変わることをどのように考えている方が多いのでしょうか?
内閣府調査では「法改正」に対する意見は拮抗
内閣府が行った2012年の「家族の法制に関する世論調査」によると、夫婦が希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」制度を導入する法改正を「必要ない」とする反対派が36.4%、「法改正をしても構わない」と答えた容認派は35.5%でした。反対派は2006年の前回調査と比べて1.4ポイント増加しており、反対派が容認派を上回ったのは初回の1996年調査以来のことだとか。性・年齢別に回答内容を見てみると,「婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」という反対派は60歳代、70歳以上の男性と70歳以上の女性が多く、「夫婦が婚姻前の名字を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」という容認派は40歳代の男性と20~40歳代の女性が多くなっています。
また、「夫婦が婚姻前の名字を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが、婚姻によって名字を改めた人が婚姻前の名字を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」という「通称派」は30歳代から50歳代の女性に多く見られました。
大きく分けると「反対派」は高齢者層、「容認派」は若年層、「通称派」はミドルエイジ層とも言えるかもしれません。
次ページでは夫婦別姓のもたらす影響について考えます。