性能の高い家でも省エネにならないことも?
東日本大震災以来、省エネやエネルギー消費についての関心が高まり、近年はスマートハウスという言葉を耳にする機会も増えました。また、昨年12月には「低酸素住宅認定制度」がスタートし、今後、新築する際には断熱性能を高める工夫をしたり、太陽光発電システムを取り入れようと考える人もますます多くなるでしょう。とはいえ、性能の高い住宅に住んでも、暮らし方によっては、予想に反してエネルギー消費を抑えられないという可能性もあるのです。今回は、どんな暮らし方を心がけると、エネルギー消費を抑え、光熱費を削減できるのか考えてみましょう。
子供が成長するとエネルギー消費が増える?
どんな家や暮らし方をすると、エネルギー消費量が大きいのか、暮らし方とエネルギー消費に関する調査をもとに見ていきましょう。右の表は、旭化成ホームズ・くらしノべーション研究所が行った『家族の「場」を重ねる暮らしとエネルギー消費の関係』という調査報告書から抜粋したものです。戸建て住宅の居住者に行ったもので、2011年に報告書がまとめられています。
この調査によると、家族が増えるとエネルギー消費が増えるのはもちろんですが、実は、家族の人数が同じであっても長子の年齢が上がるにつれてエネルギー消費が増加する傾向にあることがわかります。
●長子学齢と年間エネルギー消費量平均
長子 小学4年生以下 →77.7(GJ/年 電力・ガス・灯油)
長子 小学5年生以上 →87.0(GJ/年 電力・ガス・灯油)
上の数値から、長子が小学4年生以下と5年生以上では、11%以上もエネルギー消費が増えていることがわかります。その理由としては、子どもが成長していくと、それにつれて個室ができることが考えられますね。個室で勉強したり本を読んだり音楽を聴いたりなど、自由な時間を過ごすことによって、照明や冷暖房が必要になったり、音楽プレーヤーを使用することで、より多くのエネルギー消費につながるというわけです。
そして、家族が個室で過ごす時間は、家族の人数が増えるほど、また子どもの年齢が上がるほど多くなっています。
家族全員がリビングで過ごすと省エネに?
●夕食後の過ごし方別年間一次エネルギー消費量平均LDKで家族全員が一緒に過ごす
→78.7(GJ/年 電力・ガス・灯油)
しばらくLDKで全員が過ごした後、各自の個室に行く
→77.8(GJ/年 電力・ガス・灯油)
LDKにいるで家族と、すぐに個室に行く家族がいる
→94.2(GJ/年 電力・ガス・灯油)
リビングなど同じ空間に家族が一緒に過ごす時間を増やすことが省エネにつながるわけですね
では、どうしたら、長子年齢が上がっても家族一緒の時間を過ごせるのでしょうか。同調査では、その解決方法のひとつとして、参考となる住宅のプランを導き出しています。どんなプランなのか、次ページで、見ていきましょう。