ついに、会津鉄道へ乗入れ
会津鉄道は、かつては国鉄会津線で、この会津高原尾瀬口(従来の駅名は会津滝ノ原)が行き止まりの終点だった。そのため、今でも、その面影を残す転車台が草むらの中で埋もれるように残っている。蒸気機関車が方向転換をしていたのどかなローカル線の終着駅は、往年のイメージはなく、この先の会津田島まで東京と直接つながる電化路線に変貌し、電車が走るようになったのだ。むしろ、会津田島が、野岩鉄道と会津鉄道との境界駅のような感じで、AIZUマウントエクスプレス以外の多くの列車は、ここが起終点で、電車からディーゼルカーに乗り換えるようになっている。会津鉄道名物の「お座トロ展望列車」(お座敷車両、トロッコ車両、展望車両の3種類の車両がつながった観光列車)も側線で待機中だ。
特色ある駅や観光地が目白押しの会津鉄道沿線
この先は、旧国鉄時代からの路線なので、いかにもローカル線といった雰囲気で、地形に逆らわずのんびりと進む。しばらくは、谷あいの集落を辿るように走り、再び山深いところに差しかかると、景勝地「塔のへつり」に着く。奇岩がそそりたつ渓谷の塔のへつりは、駅から歩いてすぐのところにあるので、鉄道利用が便利な観光地だ。渓谷に沿って進むと、次は湯野上温泉。日本で唯一の茅葺屋根の駅舎を持つ駅として有名で、旅番組やガイドブックでも盛んに取り上げられている。駅舎内のいろりは、列車待ちの人でいつも一杯だ。
湯野上温泉駅の前後で二回阿賀川を渡り、いずれも車窓からの眺めが壮大だ。列車は、鉄橋の上で一旦停車して、絶景を見逃さないよう車内放送で案内もしてくれる。
芦ノ牧温泉では、対向列車とのすれ違いのため数分停車。ホームへ出て体をほぐし、気分転換するのにいい。この駅は、ネコの駅長がいることでも知られているが、「巡回中」のことも多く、駅舎に行っても会えるとは限らない。会津若松行きの場合は、駅舎と反対側のホームに停まるので、駅舎に行くのはちょっと無理だろう。