Q8)会社のほうから自由に制度を変更できる?
A)業界団体で設立した厚生年金基金の場合、基金の了承が必要です単独の企業が自社の社員のみを対象に厚生年金基金を作っていた場合、社内決定や労使合意があれば、解散等の制度変更の手続きに進むことができます。しかし、業界団体等で設立し、何十社も同時に加入している厚生年金基金(総合型と呼ばれる)の場合は、1社だけの都合で制度の変更ができません。
総合型の厚生年金基金では業界団体の役員企業などが理事・代議員となっており合議制のもと、厚生年金基金の将来像を決定します。1社だけ先に脱退したい、というような場合も期間決定が求められます。
単独で脱退して、新しい制度の再編を目指す方がいいか、業界としての意思決定を待ってから判断すればいいかは一概にいえませんが、企業の負担としては単独で改定をやる場合負担が重いことは間違いないでしょう。
Q9)いつぐらいまでに動きがあるの?
A)最初の5年、集中的に取り組みが進み、10年でひとつの区切りが来ます今回、2段階にわけて厚生年金基金の制度見直しが求められます。最初の5年では約4割の厚生年金基金、具体的には国に返すべき厚生年金相当額を保有していない厚生年金基金について優先的に解散の取り組みが進められます。もちろん、残りの6割も自ら返納をしたり制度再編をしたい場合は自由に行えます。このため、多くの厚生年金基金は最初の5年で何らかの動きがあるものと思われます。
残りの6割が5年後まで特に改革を行わなかった場合も、財政悪化が生じた場合などは解散を求められることになります。
10年後の将来像については全廃を法律は定めていませんので、財政に余裕があり、他の制度に変更する意思ももたない厚生年金基金が残るということになるでしょう。もう一度法律改正が行われて、制度そのものの廃止に決定される可能性もあります。
Q10)企業年金はなくなるの?
A)なくなりません。むしろ増加の方向と予想されます2012年3月末、50年の歴史をもつ企業年金「適格退職年金」が廃止されました。45年の歴史をもつ厚生年金基金も今回、廃止の方向性で改革が進められています。この2つの企業年金で2000万人以上の会社員がカバーされていたのですから、これは大きな変革です。しかし、企業年金がなくなるわけではありません。2001年にスタートした確定拠出年金は約440万人、2002年にスタートした確定給付企業年金は約800万人、中小企業退職金共済は約330万人が利用しています。
国の年金給付が引き下げられている中、民間サイドでの年金制度の充実は重要課題となっており、法律改正の要請も続いています。厚生年金基金が終了することになっても、全体として企業年金制度は拡充されていくと考えられます。
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いかがでしたか? 法律や制度が複雑で分かりにくい問題ですが、今回の問題に関係がある人もそうでない人も、正しい理解につながれば、と思います。
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