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大躍進なるか? 日産と三菱による「NMKV」のお家事情

軽自動車を開発&生産するため設立された日産自動車と三菱自動車の合弁会社『NMKV』は、最初のモデルである『日産デイズ』と『三菱eKワゴン』を発表した。売れ行き伸ばす軽自動車とあり、今や自動車メーカーにとって重要なジャンル。ダイハツとスズキという2強にホンダが切り込み、大成功を収めた。NMKVも大躍進なるか?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

軽自動車を作る新しい会社「NMKV」

軽自動車を開発&生産するため設立された日産自動車と三菱自動車の合弁会社『NMKV』は、最初のモデルである『日産デイズ』と『三菱eKワゴン』を発表した。売れ行き伸ばす軽自動車とあり、今や自動車メーカーにとって重要なジャンル。ダイハツとスズキという2強にホンダが切り込み、大成功を収めた。NMKVも大躍進なるか?

日産デイズ

日産デイズ


ということでNMKVを分析してみたい。クルマ作りの担当だけれど、開発部門は三菱自動車(岡崎市)。軽自動車を開発するには、計測や試作のための専用設備が必要。新たに開発部門を立ち上げようとしたら時間も予算もかかってしまう。そこで三菱自動車の設備を使うことになった。この時点でNMKVの新型車の開発は三菱が主体になったという。

エンジンも新規開発すると時間や予算がかかる。幸い三菱自動車の3B20という軽自動車用の3気筒エンジンは比較的新しい設計な上、素性が良かった。そこで3B20をベースに、日産の技術やノウハウを投入しながら改良することになる。レギュラーガソリンとして考えれば高い12という圧縮比も日産の技術を取り入れたもの。

本来ならデザインは日産と三菱自動車で別にしたかっただろうが、工場の生産ラインを考えれば難しい。ボディ骨格を共通化。容易に作り分けられる外板や、バンパーなどプレス部品以外については作り分けている。ボディ側面のプレスなどデイズとeKワゴンでずいぶん変わっており、クルマ全体のイメージもけっこう違う。

日産、三菱それぞれのお家事情

日産にとって大きな問題となったのは安全装備。日産車ユーザーのセカンドカーに、というお客さんも多い。今や普通車は横滑り防止装置や、側面衝突時に有効なサイドカーテンエアバッグ付き。お父さんが安全装備付きのクルマなのに、お母さんや娘さんは安全装備が無い、というのも厳しい。三菱自動車側に「装備したい」とリクエストしたそうな。

しかし三菱自動車は、軽自動車用の横滑り防止装置やサイドカーテンエアバッグの技術を持っていなかった(ここにきて急速に普及しそうな自動停止ブレーキも含む)。新たに開発しようとすれば、これまた少なからぬ予算を投じなければならない。けれど日産にも三菱自動車にもお家の事情というのがある。具体的に書く。

三菱eKワゴン

三菱eKワゴン


日産の場合「なるべくNMKVにお金を使いたくない」。今まで日産は三菱自動車やスズキから軽自動車の完成車両を供給してもらい、そいつに日産のエンブレムを付けて販売していた。したがってNMKVは、今までの仕入れ価格より安くないとうま味無し。高いコストになったらNMKVの意味が無くなってしまう。

一方、三菱自動車は「予算不足」。そもそもeKワゴンをフルモデルチェンジするための予算も無かった。さらなる投資をする決断を出来なかったのだろう。かくして最新型の軽自動車として考えると、安全装備で決定的に遅れることに。以上、NMKVのアウトラインを紹介した。果たしてホンダのような大躍進を見せてくれるか?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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