民主主義は国政の基本
国家の主権は国民が所有し、行使する立場にあるとするのが、民主主義の考え方です。日本で民主主義に基づく政治体制である民主制がとりいれられるようになったのは第二次大戦後のこと。江戸時代までは貴族や武士といった特権階級の人々が権力を独占。明治時代に「大日本帝国憲法」が制定され、一部の一般男性には政治参加への道がひらかれたものの、実態は天皇をトップとする君主制でした。戦後、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を3つの柱とする「日本国憲法」制定され、ようやく民主主義国家としての第一歩を踏み出すことになります。
「国民が国のあり方を決めるのが民主主義」といっても、全員が集まって物事を決めるのは物理的に不可能に近いのが現状です。そこで、自分たちの代表を選び、話し合いをしてもらおうというのが「国会」であり、代表として選ばれた人たちが「政治家」です。国会には、予算案やその予算を実行するのに必要な法律案を審議する「通常国会」、衆議院総選挙後に新しく総理大臣を選ぶ「特別国会」、特別な予算を組む際に臨時招集される「臨時国会」の3種類あります。
これら国会において、国民が出し合った税金の使い道を決めたり、公務員の仕事を監視したり、仕事を命じたりするのが政治家の役割。また、政治家自身の給料も税金から支払われています。選挙に立候補した政治家たちは「当選したら、こういう仕事をします」という公約やマニフェストを発表しますが、これはいわば「自分なら税金をこんな風に使います」というメッセージ。納得のいく税金の使い道を提示している人を選ぶのが、本来の選挙のありかただというわけです。
選挙のときにはいいことを言っていたけれど、フタを開けてみたら期待外れ……ということもあるかもしれません。でも、そんなとき、民主制であれば、政治を行う為政者を選挙で選び直すという選択肢があります。次の選挙で当選させなければOKと、じつにシンプル。政治の担い手である政治家は予算案や法律案の決定など、大きな権力を持ちますが、それ以上に大きな力を持っているのは、彼らを選挙で選ぶ側。つまり、国民ひとりひとりであるというのが、民主制の基本的な考え方です。