2012年は原価安で利益率大幅改善
天虹紡織の足下の業績は絶好調!
2012年の中国の繊維業界は、金融危機と不況が長引くヨーロッパ向け輸出が減少し、厳しい年となりました。11月までの統計によると、綿繊維業界全体(一定の規模以上)の2012年1月~11月の売上高は前年比+13.5 %増、粗利益額は7.5 %増でともに2011年の成長を下回りました。そして業界の最終利益は人件費高もあって13%もの赤字に陥った模様です。
このような逆風を同社も受けましたが、市場シェア拡大により、糸の販売量が増加したことで増収と大幅増益を確保しました。主要製品のストレッチ糸のほか、デニム糸、ニット糸などの販売も拡大しました。
粗利益率の大幅な増加には、主に原料となる綿花の価格下落が寄与しました。糸の平均販売単価は1トン当たり2万5308人民元で前年比 17.0%減。しかしそれ以上に仕入れコストが下がりました。同社は高い国産の綿花を避け、安い海外産綿花を多用したために大きく利益率を上げることができました。同社の製品コストの約85%を占めるのは、綿花などの原材料です。綿花の価格は安く落ち着いており、その意味では昨年同社に追い風が吹きました。ちなみに、ベトナム工場の綿糸とデニム糸の生産量は全社の58%を超えます。
商品別に見ると、糸が売上の83.7%を占め、織物が14.0%、製品が2.3%を占めています。糸の生産量をタイプ別に分けると、 49.4%が綿糸、31.2%はデニム糸、19.4%が合成繊維です。同じ糸や織物でも、価格の高いストレッチ製品の販売を増加させ、利益率向上を図っています。
2013年上半期の業績も好調推移
2013年6月6日に同社は2013年1~5月までの業績が非常に強く推移していることを開示しました(ポジティブ・プロフィット・アラート)。上半期の大方を占める同期間に、同社は計9万6500トンの糸を販売しました。そして5カ月間の利益額は昨年上半期(6カ月間)の2倍以上になっていると発表しました。具体的な数字は示していませんが、2013年上半期の利益は昨年に比べて大幅増になるとの会社予想です。好調の要因は2012年から続いている波と同じであり、堅調な国内需要と、安価で推移している国際綿花市場で原料を調達できていることによります。商品市況の下落で糸の販売価格も下がっていますが、それ以上に海外生産を早くから進めてきた同社に仕入れ価格安の風が吹いています。
2012年末時点では、中国国内の綿花価格は国際価格に比べ45%も割高だったようで、現時点でも大きな差が開いている模様です。同社はベトナム、マカオ、香港で生産した糸の多くを中国拠点にグループ内販売し、それを対外顧客に販売しているようです。
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