2013年1-3月期もザイレムの売上は急拡大
「ザイレム(Xyrem)」:ナルコレプシー(発作性睡眠)やEDS(日中の傾眠)という睡眠障害に対する処方薬
1-3月期実績におけるザイレムの販売額は前年比60.1%増で、全体の6割を占めました。2012年に買収したEUSA社の主力薬、急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対する処方薬である「エルウィナーゼ(Erwinaze)」が全体の21%を占めました。そのほか吸収合併した旧Azur社の薬品も、各シェアは低いものの10種類以上。再編によって製品が多様化しています。また、もともと同社は「Luvox」という脅迫神経症薬を持っていましたが、これを含む精神科の薬が全体の9%を占めました。しかし「ザイレム」と「エルウィナーゼ」を除いては、前年より販売額が減少しています。
2013年第四半期に「ザイレム」を処方された患者数は1万550人でした。単純計算で3カ月間に患者一人あたりから110万円ほどの売上を得たことなります。ザイレムに関しては、ナルコレプシー、EDSという睡眠障害だけでなく、線維筋痛という別の病気治療薬へも広げる動きもあります。また現状は米国のみですが、他国への拡販も(承認が難しいものの)進めたい考えです。
なお、ジャズ社の「ザイレム」に含まれる複数の特許は、それぞれ5~10年の間に消失していきます。すでに格安なジェネリック版も開発されており、特許消失後のザイレムの売上はほとんど消えると予想されます。異常な値上げにより、その大部分を支払う保険会社からの訴訟もありますが、今のところすぐにジャズ社の業績を脅かすようなことはありません。
このあたりは株価の調子の良さが物語っており、投資家はこのあたりの事情を皆知っています。少なくともあと3年程度は問題なく、さらに独占的なマーケットシェアを高めるとも予想されます。そして同社は昨年の再編により、製品や技術が分散されました。残り3~4年程度の安泰のうちに、開発までは無理としても、これらを利用した新たな新薬の道筋をつけることが期待されます。
参考:グローバルグロースレポート
※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。