金融機関の破綻時、あなたの401kはどうなる?
401kは自己責任の年金制度です。自分でどの金融商品をいくら買うか選ぶことができます。その代わり、運用の結果についても自分で責任を負います。会社の企業年金であっても後から運用の失敗について補てんされることはありません。自分が選んだ株式投資信託が、株価の値上がりや値下がりで価格変動するのは自己責任ですから仕方ありませんが、金融機関が破綻するような事態になったとき、401kの財産はどうなるでしょうか。
401kのビジネスは、複数の金融機関がからんでいます。金融商品を提供する銀行や生保、投資信託会社だけではなく、実際の資金管理をしている信託銀行、401kサービスを提供している運営管理機関と呼ばれる団体(ほとんどは金融機関が兼務)がかかわっています。
今回、それぞれの金融機関ごとに破綻の際の「資産保全体制」を考えてみます。
信託銀行が破綻したとき、どうなる?
401kの場合、資産管理機関という組織が実際のお金を預かっています。資産管理機関を担える金融機関等は法律で定められていますが、実際にはほぼ100%信託銀行がこの仕事を行っています。信託銀行がもし破綻したら、401kの財産はどうなるでしょうか。ここは、ほぼ100%安心です。
資産管理機関が破綻しても、みなさんの401kの財産は全額保全されます。なぜなら、自らの財産と顧客の財産を分別管理できるところだけが、資産管理機関としてビジネスを行うことが認められているからです。仮に破綻したとしても、顧客の財産は会社の損失と帳消しにされることはなく、精算が終了次第、払い戻されます。(401kの場合は、別の信託銀行に移換される)
金融商品の提供会社が破綻したとき1~銀行や保険会社の場合
次に、金融商品を提供する会社が破綻したとき、どうなるか考えてみましょう。最初は「元本確保型商品」といわれる安全資産を提供している銀行や保険会社(生保・損保)です。満期まで保有すれば元本と利息が必ず支払われるのが元本確保型商品で、401kの運用においてとてもありがたい選択肢のひとつです。しかし、この元本確保型商品、金融機関の破綻時にはちょっと弱いところがあります。
まず、銀行等の金融機関が破綻した場合、ペイオフの対象となり、必ずしも全額が保全されるとは限りません。手元で持っている定期預金等と合計で1000万円までの元本と利息が預金保険機構により保証されるものの、それを超えた部分は破綻処理の中で保証割合が決まります。また、優先順位は手元の銀行預金が先になるので、合計して1000万円以上預けていた場合、401kの財産のほうにペイオフのしわよせが及ぶことになります。
次に、生命保険会社や損害保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構、損害保険契約者保護機構がそれぞれ保証を行います。こちらは、それぞれ90%の保証を行うとしています。破綻状況や契約していた利回りなどによって、最終的な取り扱いは決まります。
銀行や生損保の破綻可能性はあまり高くありません。しかし、安全な運用だと思っていても、金融機関の破綻に際しては必ずしも保証されないということは覚えておきましょう。ちゃんと、金融機関の信用力も考えて預けなければいけない、ということです。
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