長期金利の上昇は低下しすぎの修正

長期金利の上昇は住宅ローン金利にも影響する?

長期金利の上昇は住宅ローン金利にも影響する?

2013年度、正確には4月4日の異次元緩和と呼ばれる大胆な金融緩和が行われる前と行われた後では、長期金利の動きは正反対の動きとなっています。

日本銀行の金融政策決定会合が公表されるまでは、期待先行で長期金利は低下。公表された後は、一時的に政策に敬意を払い、長期金利は2003年6月の0.43%を下回り、4月5日に0.315%まで低下しました。しかし、その日のうちに0.6%台まで上昇。その後は一度も0.4%台に低下する事なく0.9%前後まで上昇に転じています。

日本銀行の意に反して長期金利が上昇したことから、ニュースや新聞は大騒ぎ。このまま行けば、住宅ローン金利は5月に続き6月も上昇などと煽ったことから、長期金利上昇に不安を持たれた人も多かったのではないでしょうか。

余談ですが、5月23日に日本株が急落するまでは長期金利の上昇を連日のように報道していたものの、日本株の急落後は長期金利が上昇してもあまり見向きもされないことに違和感を抱かざるを得ません。おそらく、6月の住宅ローン金利が公表されるころには一騒ぎがあるのかもしれませんが。

話を元に戻すと、確かに長期金利は瞬間0.315%を付け、営業日ベースで32日目に1%まで上昇したことから、短期間の急騰といえるでしょう。しかし、時間軸を長くとって長期金利を俯瞰すると、むしろ長期金利が1%を下回っている方が異常と考えられなくもありません。筆者の手元にある長期金利のデータは1974年から今日までですが、その間長期金利が1%を下回っていた期間は3年にも満たないのです。つまり、行き過ぎた(異常値まで)長期金利の低下が正常な水準に戻っているに過ぎないと思われるわけです。

前回、長期金利が1%を下回っていたのは2003年ですが、やはり今回と同じように株価の上昇とともに長期金利は上昇に転じていたのです。長期金利の上昇の要因を株価の上昇だけに求めるのはやや強引かもしれませんが、少なくとも株価の上昇(急騰)により債券売りの株式買いというポジョション調整を行った機関投資家は少なくないと思われます。

債券投資にとって、長期金利の上昇は朗報

長期金利の上昇によって住宅ローンなどはマイナスの影響を受けますが、個人向け国債などの運用という側面に光を当てればプラスになる側面があることを忘れてはなりません。

筆者は、長期金利が低下していることから、個人向け国債の3年物と5年物は最低保証金利である0.05%まで低下するだろう、新窓販国債の10年物は、2003年6月に発行された第250回債の0.5%を下回るのではないかと予測していましたが、どうやら史上最低を更新するのは遠のいたようです。

個人向け国債の3年物こそ、2013年2月募集債から4月募集債までは最低保証利率である0.05%まで低下しましたが、5月に募集された3年物の利率は0.12%まで上昇しているのです。5年物は4月に募集されたものが0.06%まで低下しましたが、6月に募集されるものの金利は上昇しているはずです。なぜなら、毎月募集されている新窓販国債の5年物の利率は、2月、3月募集こそ0.1%だったのですが、4月募集は0.3%、5月募集は0.4%まで上昇しているからです。

また、新窓販国債の10年物は、3月、4月、5月募集こそ0.5%の利率でしたが、長期金利は5月23日の株価急落があったにもかかわらず0.8%を下回りませんでした。

よほどのことがない限り、長期金利は0.7%台を付ける可能性も低く、まして4月4日の金融政策決定会合による期待先行のような0.4%台、0.5%台まで低下することはほとんどないと思われます。長期金利が再び0.5%台以下になるのは、日経平均株価が1万円を割れるくらいのサプライズがあったときと考えられます(起こって欲しくはありませんが)。

長期金利は4月5日の瞬間0.315%で底を打ったと思われることから、国債の利率は月によって上下動はあるにしても、緩やかに上昇していくと考えられます。利子の増加が期待できることから、資金運用には久しぶりの朗報といえるかもしれませんが、預金金利に反映されるのは預入期間5年以上の定期預金くらいでしょう。

6月は個人向け国債の募集は3年物、5年物、10年物の全てが揃い踏みとなり、いずれも利率の引き上げが期待できますが、10年物以外は購入を控えるのが懸命でしょう。

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