パンドラハウス イデーマルシェ
手芸用品と雑貨を取り込んだ手づくりの新業態店「パンドラハウス イデーマルシェ」が、4月23日にグランドオープンしたイオン東久留米店(東京都東久留米市)2階のイオンモール専門店街に出店した。水戸内原(水戸市)、春日部(埼玉県)、つくば(茨城県)に続くイデーマルシェ4番目の新店である本年12月には5番目の新店が幕張(千葉県)にオープンする計画だ。
新客層を取り込む 手芸の新業態店
流通最大手イオンは、全国の総合スーパー(GMS)内を中心に手芸の専門売場「パンドラハウス」を展開しており、その数は286店舗を数える。手芸・クラフトの路面店が減少する中で、常に目を離せないのが「パンドラハウス」の動向だ。
そのパンドラハウスが従来の手芸用品に雑貨商品を取り込んだ、新しい業態の専門店「パンドラハウス イデーマルシェ」を立ち上げた。
「手芸と雑貨を融合させた売場は、まだ全国どこもない。
ショッピングセンターのGMSゾーン内ではなく、テナントと同じモールゾーンに出店することで30~40歳代の若い顧客を取り込みたい。新しい切り口の商品構成とサービス内容を工夫し、ライフスタイル提案型のクラフト専門店を展開することで、新規の顧客を獲得したい」(イオンリテール株式会社パンドラ事業部/脇田賢一事業部長)というのだ。
イデーマルシェ誕生の裏には、手芸用品を取り巻く環境の厳しさが背景にある。
パンドラハウスも例外ではなく客単価は千円前後。客層の高年齢化も進んでいる。「これまでの手芸の客層だけをターゲットにしていたら、先細りは必至。今まで手芸をやったことのない人や、興味はあるけどきっかけのなかった人をなんとか呼び込みたい」と考え、新業態の開発に着手した。
手づくり商品の品揃えの強化と並んでもう一点、それ以上に重視しているのが接客と店内講習会である。手芸の未経験者に手芸に目覚めるきっかけを与え、続けるための場を提供することが必要と考えているからだ。
講習スペースを店内に確保するとともに、接客と技術指導のできるアドバイザーを配属。量販店のセルフ販売方式ではない、かっての専門店が行ってきた『教えて売る』方式を取り入れ、顧客対応に当たっている。
その顧客対応のカギを握るのが、社内組織「ハンドクラフトアドバイザー」制度で、資格取得者にとってはまたとない活躍の職場が巡ってきたことになる。
首都圏に4店舗 生活シーン別の売場づくり
さて、「イデーマルシェ」開店後のお客の反響は、どう出ているだろうか。
「客単価は目標の1,500円に対し1,380円。今まで取り込めなかった客層も取り込めつつある。我々が当初考えたストーリーには乗っていると思うが、雑貨の売上げ構成比が思うようにあがっていないので、品揃えについてはいま一度見直す必要を感じているところだ」。
生活シーンで括ったリビング、キッズ、ダイニングなどを想定した売場を設け、それらのシーンにあった手芸用品と雑貨を取り揃えるとともに、完成品も展示する。
生地のデザインにあった玩具やぬいぐるみを取り揃えるギッズルーム。マグカップとプリントの手仕事を加えたコースターが並ぶダイニングルーム。
こうした『あなただけのオンリーワン』と呼べる手づくり提案の更なる上乗せを図ることで、10~20代のカップルから子育て世代の30~40代の集客を狙う。
売場面積150坪に手芸用品1万2千品目と雑貨1千品目を扱うのが、これまで出店した4店舗の基本パターンだ。
「モノを売るのではなく、コトを売るのが我々の発想の原点。その意味でいえば『入園入学』が年間を通して最大のビジネスチャンス。ひな祭りやクリスマスなども加えた、コトをテーマにしたメニュー提案の開発にも取り組む」と語る脇田部長。
【関連サイト】
イーオン 布地と手芸のパンドラハウス
→ http://www.pandorahouse.net/
【情報提供元】
洋装産業新聞