ほんの少し手間をかけて
ロウソクや線香にこだわってみるのもよいかもしれません
便利な世の中にはなりましたが、これでは家族の出番がなくなってしまい、本来の弔いの意味とは視点がずれてしまうのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが「手作り葬儀」。今どきの言葉で「DIY葬儀」と表現するメディアも登場しています。
DIY葬儀というと、自分達で棺や祭壇の制作・手配をする葬儀のことをイメージする人もいますが、そういうことではありません。ここでいうDIY葬儀とは、通常どおり葬儀社に依頼しつつも、自分達でできる範囲のことは、業者の力を借りず手間をかけてみましょう、という意味。
例えば故人が好きだった色をイメージして枕花を買ってみるとか、故人が好きだった食べ物を作ってお供えしてみるとか、簡単に着手できる部分だけでOKです。大切な人を亡くして、どうにもこうにも整理がつかなくなったとき、ほんの少し手間をかけるだけで、ずいぶんと気持ちが楽になるものです。
DIYした場合の葬儀費用は?
「DIYを取り入れた場合の葬儀費用は、安くすむ?」と考える人もいますが、実際のところ必ずしも安くなるわけではありません。例えば祭壇。葬儀の祭壇は、準備する時間が十分あるわけではなく、通夜がはじまる直前のわずかな時間で花材をそろえ完成させなければなりません。供花がある場合は札の準備、芳名版の準備もあります。仮に花をたくさん自分達でそろえることができたとしても、手際よく大量の花を祭壇として飾る技術がなければ、余計な負担がかかるだけになってしまうのです。
料理にしても、かつての地域コミュニティで行われていたように、近隣の方、親戚、友人・知人の力を借りなければ、自分達だけで準備するのは大変です。
あくまで「自分達でできる範囲」に徹するのが得策で、依頼できるところは業者にまかせたしたほうが、費用面でも抑えられるケースが多いのです。
DIYできるポイント例
●花祭壇以外の花は、自分達で準備してみてはいかがでしょう。枕花だけでなく、焼香台の上にミニアレンジを置いたり、食事場所に飾ったり、花の出番はいくらでもあります。故人が大切に育てていた盆栽やプランターを飾ってもよいでしょう。
●お礼状
お礼状は、葬儀に参列していただいたお礼や、法要を滞りなく営んだ旨をお伝えする大変重要なアイテム。お決まりの文章にとらわれる必要はありません。直筆のメッセージを入れたり、遺族の思いや感謝の気持ちをお礼状に込めることができます。
●料理
業者へ依頼した仕出し料理がテーブルに並んでいるだけだと、なんとなく味気ない感じがします。故人が亡くなる直前まで漬けていた「漬物」、大好きだったお隣の豆腐屋さんの「豆腐」、旅行で訪れてから好んで食べるようになった「南国フルーツ」など……。業者に手配した料理のほかに、このような思い出の逸品が登場するだけで、故人への思いがヒシヒシと伝わってくるものです。