時代と共に変わる介護の仕事
「介護福祉士」と聞くと、「介護に関わる仕事をする人かな」と、漠然と考える方が多いのではないでしょうか。法律では、「介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう」と定義されています。
上記の内容は「社会福祉士法及び介護福祉士法」という法律に書かれています。じつは、法律制定時は介護福祉士の仕事として「入浴、排せつ、食事その他の介護」と例示されていましたが、2007年の改正で「心身の状況に応じた介護」という表現に変わりました。
従来は介護の仕事というと、生活のさまざまなニーズに対応するものと捉えられてきました。しかし、現在の介護には、介護が必要な一人ひとりのこころとからだの状況を分析し、計画的で根拠のあるものとして展開していくことができる「専門性」が求められるようになってきたという点がポイントです。
介護を行う人が、介護を必要とする人の「こころとからだ」を理解する必要性が出てきた背景には、昨今、認知症(高齢になって生じる脳の病気)の人が増加していることも一因として挙げられます。
現場のリーダとして期待される介護福祉士
前述の法律を読むと、介護福祉士は介護業務を行うだけではなく、介護者に対し、介護に関する指導を行うことも業務のひとつとされています。加えて言えば、介護に関する精神的・身体的な負担を減らす役割も担っているといえるでしょう。また、ここで言う「介護者」は介護をしている家族や知り合いばかりではなく、介護現場で働く人も含んでいると考えると、介護福祉士は、ヘルパーさんらに対する教育や指導も担うと捉えることができます。
すなわち、国家資格をもつ介護福祉士は、これからの介護現場のリーダー的人材になることが期待されているのです。
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