子育て/子育てスタイル

産後の“夫婦のすれ違い”をなくす「父親学級」って?(2ページ目)

恋をして、やがて夫婦となり、子どもが生まれる。周囲から「おめでとう」の声をたくさんいただいて、幸せの絶頂ともいえるこの時期に、夫婦の“ボタンの掛け違い”が始まるようです。こうした「産後クライシス」と呼ばれる夫婦仲の危機に立ち向かう、株式会社アイナロハの渡辺 大地さんにお話を伺いました。

執筆者:増村 江利子

産前から、産後のサポートについて考える「父親学級」

産後に起こりやすい、夫婦のすれ違い。それは、夫婦で話し合って、考えをすりあわせる必要があると渡辺さんは言います。

「そうしたなか生まれたのが「父親学級」です。所沢市周辺の病院、助産院、クリニックなどで毎月、ほかにも依頼があれば出張開催しています。産後はとても大変で、イライラするし、けんかもある。なんでこんな人と結婚しちゃったんだろうって思ったりすることもあるかもしれない。人にあんまり言えないし、触れられない部分ですが、夫婦のシェアリングとコミュニケーションのきっかけづくりとなる場をつくりたかったんです。」(渡辺さん)
父親学級

ぜひ夫婦で参加して欲しい、と言う渡辺さん。会場後方にはキッズスペースを設けることも

男性は出産にともなう女性のライフスタイルやからだ、心の変化を知る機会も少ないのだと渡辺さんは指摘します。例えば、外出もままならず、友人との付き合いができなくなることでストレスを抱える女性は少なくありません。そうした時、同僚と飲んで帰るなど、産前と変わらない男性の行動を女性がどう受け止めるか、考えてほしいと呼びかけます。

「産後の母親は、授乳以外の家事・育児をすべて他人にゆだねて寝ていないといけないんです。悪露(おろ)といって、出血が1ヶ月程度続くわけですから。知人の中には、産後も週に2回だけ飲んで帰ってきていいとルールにしている方がいましたが、いいわけないんです(笑)。母親の大変さを考えたら、その大変さをシェアして、助けてあげないといけないですよね。」(渡辺さん)

一方で、「産後クライシス」は一方的に父親に責任があるということで片付けてほしくないと言う渡辺さん。

「働く女性は、育児休暇などで収入が減ると、一家のなかの稼ぎ手は父親に傾きますから、自分の収入が減ったことで、何かお願いしにくい、といったこともあるようです。子育ては、お金には替えられない価値のあるもの。どんなふうにつらいのか、してほしいこと、手伝ってほしいことなど、男性に伝えることも必要です。男性側はなかなか気持ちを汲み取れず、良かれと思ってやった家事を迷惑がられたりすることで悩んだり戸惑ったりもしていることもあります。」(渡辺さん)

同じ屋根の下で一緒に暮らしていると、そんなこと言わなくても分かるでしょ、とコミュニケーションを怠りがち。「産後クライシス」は、こうした夫婦間のコミュニケーションが足りないことが大きな原因のようです。どんなことに不安を感じていて、どう変えていきたいのか。不満をぶつけるのではなく、丁寧なコミュニケーションを心掛ける必要がありそうです。

<DATA>
株式会社アイナロハWebサイト >>
男の産後手帳について >>
出張父親学級について >>
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で子育て関連の書籍を見るAmazon で子育ての書籍を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます