30代は将来が不安でお金を使えない
マジメさんが多いのは30代。不景気で就職活動に苦労した世代です。老後のことを一番心配している世代でもあり、財布のひもが固くなりがちです。30代がお金を貯める一番の目的は、「老後資金」や「何かあった時のため」。具体的に何か物を買うとか、何かをする時のために貯めるのではなく、ひとことで言えば将来の不安に備えるためにお金を貯めているのです。
「不安」はお金がいくらあれば解消できる?
「不安」は自分で作り出しているものです。「子どもに頼れないかも」「老人ホームに入るのにお金がかかる」「介護状態が長引くかもしれない」「寝たきりになったらどうしよう」と心配の種はつきません。中には、老後に1億円以上貯まるケースでも、「病気で働けなくなるかもしれない」「子どもにお金がかかるかもしれない」と心配し続ける人がいます。FPは占い師ではないので、マジメさんの将来はわかりませんが、不安を自分で作り出してしまうと、1億円あっても安心できません。
買い物は敵!?
将来のお金もちゃんと貯めて、自分のためにもお金を使いたい
実際マジメさんたちは、しっかり家計管理ができているので、大きな買い物は慎みますし、ムダがないのに「あと、どこが削れるでしょうか?」という質問が出ることもあり『支出を削ること=すばらしい!買い物=敵!』という思考回路から離れるまでに時間がかかります。
切り詰めてガマン大会を続けるマジメさんたちは本当に立派です。苦労のあかしである家計簿を見ると、旅行も行かず、食費はきっちりと予算内におさまり、レジャーはお金のかからない公共の施設などを利用し、貯蓄率は40%以上あるご家庭も! その努力に目頭が熱くなります。
家計診断をして、「よく頑張りましたね!合格です!」と伝えると、「やっと安心できます」とおっしゃるお客様がいらっしゃいます。貯金をしていても、節約を頑張っても誰も褒めてくれませんから、自分の努力が初めて認められた瞬間です。
一方、貯めベタさんたちは、「家族でテーマパークに行って来ました」「輸入ショップでコレ買ったんです、可愛いでしょ!」「○○という映画はご覧になりました?」……と、まあ元気なこと。何とかお金が回っていれば、それほど気にせずお買い物をします。当然お金が貯まるスピードは遅く、マジメさんたちが見たら、うらやましくなるくらい脳天気です。
貯金もそれほど貯まっていないのに「せんせ~、マイホームって今買ったほうがいいですか?」とこれまた、ニコニコ質問なさる方も。貯金が少ないのは決して褒められませんが、必要以上に不安がることなく、自分の「好き」に素直でいることで、こんなにも楽しく人生を過ごせるようになるのです。もしあなたが、パン屋さんに入った時、自分の好きなパンではなく、安いパンをいつも選んでいたら要注意です。
安心して使えるお金を知る
老後のために毎月貯蓄をすることは、だれにとっても大事なことですが、忘れてはいけないのは「お金を貯めるゴールは使うこと」だということです。貯金残高が増えるのがゴールではなく、自分や家族のために生きたお金を使うことが大事です。お金を貯める目的が「備えること」、だけでは人生はとても味気ないものになってしまいます。実際のご相談では、まず安心して使っていいお金を出します。貯金が生活費の半年以上貯まっていて、5年以内に使うお金も貯まっていれば、まずは合格。あとは、毎月無理なく貯められる将来のお金を手取りの10~40%の範囲内で決めます。子どもがいる人は、ひとりにつき1万5000円貯めたいところです。
ちゃんとお金が貯まっていれば、あとは安心して使っていいお金です。老後に必要なお金は今の試算ですから、物価や金利の上昇、年金支給額、いつまで働くかなど、条件が変わると実際に必要なお金は変わってきます。現時点では、50年以上先までの人生に必要なお金をドンピシャリ!と当てることが大事なのではなく、定期的に細かく修正していくことが大事なのです。
貯めベタさんが貯め上手に変わる時
人生を謳歌する貯めベタさんたち、このまま貯められない人として、一生を終えるわけではなく、貯め上手に変わることがあります。お金は貯まっていない、でもマイホームが買いたいと思えば、ニコニコお金を貯め始めます。自分の欲しい物を手に入れる、ワクワクするような目的があるから頑張れるのです。マジメさんたちは例えるなら、重いスーツケースを持ってただ街中を歩いているだけ。でも、貯めベタさんたちは「ハワイに行く!」というような楽しい目標があるから、スイスイ荷物を運べます。同じ重いスーツケースでもこんなに違います。
ですから、幸せそうにお金を貯めるには、ワクワクする目的を作ること。そして、貯めている間も上手に自分や家族が喜ぶような使い方をすることをおすすめします。