大原美術館外観
大原美術館は、創立80年以上の歴史を刻む私立美術館です。
美術館の創立者である事業家・大原孫三郎が、ヨーロッパ留学をした友人で画家の児島虎次郎に委嘱して集めたという作品群は、まさに「名画」と言われるものばかり。
今回は、大原美術館の柳沢秀行学芸課長にお話を伺いながら、名画がつくられた背景に迫ります!
描かれた画面にだまされるな!
クロード・モネ 《積みわら》 1885年ごろ
「日本の田んぼと違って、ヨーロッパの畑は麦わらを積むのね」
「のどかそうでいいわねぇ、キレイな色だし」
作品を見ていると、ため息のように言ってしまいそうですが、どうなんでしょう?
柳沢学芸課長
「1800年代半ばの絵は、神話とか歴史をテーマにしたものが主流でした。この作品が描かれたころになると、パリの都市風俗や市民生活が描かれるようになりました。
つまりフランスの社会に変化、市民が主役の時代になったのです。
それと、モネたち『印象派』と呼ばれる画家たちは、画面に『光』も表現しようとしたことも特徴です」。
時代と絵の内容が関係していた、だなんて!
他にどういう作品があるんですか、柳沢さん!
優雅に見えるけど、実は違う!?
ギュスターヴ・モロー 《雅歌》 1893年
柳沢学芸課長
「この作品はもっと奥深いんですよ」
お……奥深い?
柳沢学芸課長
「先ほどのモネとあまり時代が変わらないのですが、モネたち『印象派』と違って、このモローという画家は、未来を見つめたい、目に見えない美しい世界、を表現したのです」。
わァ、そうだったんですね。たったいまもアベノミクスで明るくなりそうですが、まだまだ世の中はどんよりですよね。私も明るい未来を想像しながらアフタヌーンティーとかしちゃって、キレイな格好して、ぼーっと海とか眺めていたい……。
もしかしてモローも、そんな妄想をして絵筆を動かしていたのかもしれませんね。