埋もれている優良銘柄はたくさんある
トヨタ自動車、パナソニック、ソニー、キヤノンなどの、いわゆる国際優良銘柄と呼ばれる日本を代表する企業に投資をするというのは、一見、安心感があるように思いますが……。「確かに、こうした国際優良銘柄は、過去の円高の影響で業績が悪化し株価も低迷していました。今はやや円安になったことによって業績も回復、株価も回復といいことずくめ。ですが、その恩恵を受けるのは、株価が低迷していた時期に投資をしていた人たち。今から投資をはじめるなら、円安によって先行して株価が上昇した銘柄ではなく、地味にみえるけれど、次に注目を集めるだろう業種や企業に目を向けるべき。円安が一段落したとき(たとえば円高傾向になったとき、など)、次に株価を押し上げる(押し下げる)材料は何なのかを考えてみましょう」と木村さんはアドバイスします。
身近なところでは、消費税UPも予定されています。企業会計システムの変更もあるでしょう。ノーベル賞受賞のiPS細胞に関係する分野は、これからの成長産業になりうるでしょう。円安だけに気を取られず、投資の基本のひとつ「投資のテーマ」は、いっぱいあるのです。
10年前とは様変わりした消費スタイルに注目
「ガンホ―」と聞いて、「ああ、あの会社ね」とすぐに思いつく人は、ゲーム好きか投資センスがある人のどちらかでしょう。正直、筆者はピンときませんでした。ガンホ―は、いわずもがな「パズドラ」が人気の無料オンラインゲームの運営会社。パズドラ人気から単元が1株で急騰し、必要投資額が400万円前後と高額になりましたが、その後株式分割により30-40万円台で買えるようになりました。ところで話はさかのぼりますが、NTTが上場したのは1987年のこと。政府保有株の放出で投資家のみならず、これまで株式投資をしたことがない人までも株を入手しようと過熱しました。上場初値は160万円(現在の株価調整後の価格は1万5686円)。しばらくは株価上昇が続きましたが、バブル崩壊もあり約312万円をピークに株価は下落の一途をたどりました。それから10年後の1997年にヤフーが株式上場をします。当時の公募価格は1株154万円=現在の株価調整後の価格でなら1株244円でした。
さて、現在、NTTは-74%(上場時株価比)。一方のヤフーは実に約180倍(同)にもなっています。
「NTTのような銘柄に投資をするのか、ヤフーのような銘柄に投資をするのかを考えてみましょう。もちろん、ヤフーのような銘柄を見つけたいですよね。そのためには、周囲の若者とコミュニケーションをとったり、どんな消費行動をしているのかを観察するのもひとつのアイデアです」(木村さん)
次からは、具体的にどんな銘柄に注目したらいいのか、木村佳子さんオススメの銘柄を交えて紹介していきましょう。
次のページでは、高配当が魅力の銘柄について解説します
監修/木村佳子(株式評論家) 取材・文/伊藤加奈子
イラスト/武曽 宏幸 パネルデザイン/引間良基