ブランドを支えるFFコンパクトへ

M・ベンツAクラス

“新世代スポーツコンパクト”として7年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたコンパクトハッチ。1.6リッター直噴ターボを積むA180 BlueEFFICIENCY (284万円)とA180 BlueEFFICIENCY スポーツ(335万円)、2L直噴ターボのA250シュポルト(420万円)をラインナップ。A250はAMGが開発から参加したハイパフォーマンスモデル

初代、2代と、背の高いミニマムユーティリティビークルとして名を馳せたAクラス。よりファミリィ志向を強めた兄弟分のBクラスが登場するに及んで、そのキャラクターをアピールする機会をうしなっていたように思う。結果、本来、果たすべきブランド入門車としての役割、たとえば若年層の取り込み、も特に3ドアモデルのなかった日本市場では、思うに任せなかった感もある。

M・ベンツBクラス

2012年に2代目が登場した、“コンパクトでプレミアムなスポーツツアラー"Bクラス

たしかに、BクラスはAクラスをしのぐ人気モデルに成長した。けれども、このあまりに便利な“ベンツ”は、その使い勝手の良さゆえ、ひとつのカテゴリー=ファミリィベンツとして収束してしまったきらいがある。Bクラスユーザーは、Cクラスに発展することなく、またBクラスを、もしくは類似のユーティリティモデルを選ぶ。(当然ながら)ダウンサイザーで、特にそれは顕著な傾向だ。

であれば、Bクラスにはその稼げるマーケットを単独でカバーしてもらって、キャラの似通った、けれどもBより“不便”なAクラスのイメチェンを図った方が得策じゃないか……。

というわけで、新型Aクラスは、Bクラスをベースとしながらも、いわゆる欧州Cセグメントのハッチバック車と真っ向勝負のFFコンパクトカーへと、大転進を図ったのだった。
M・ベンツAクラス

ジェット機のエンジンをモチーフとした丸形エアアウトレットや立体的なトリムを用いたダッシュボードが採用される。ラゲッジ容量は341~1157リッター

逆にいうと、Aクラスを、ブランド全体の出発点として再定義することで、そこからの派生モデルも展開しやすくなる。デビュー順序は逆だったが、Bクラスはそのひとつだし、FF初のAMGモデルA45や4ドアクーペのCLAを筆頭に、FFメルセデスの登場が今後、3~4モデル予定されているという。そのラインナップはVW並みともウワサされている。これらは、成熟市場のみならず、新興マーケットにおける旺盛な需要を満たす有効なツールとなり、グローバル市場でメルセデスブランドの裾野を拡げていくことになるだろう。

つまり。Aクラスは、これからの10年、否、20年のメルセデスブランドを支える、とても重要な役割を担っているのだった。

内外装デザインも“スポーツ”仕立て

M・ベンツAクラス

ボディサイズは全長4355mm×全幅1780mm×全高1435mm(スポーツ 1420mm)、ホイールベースは2700mm。旧型より405mm長く、160mm低くなっている(ベースモデル比)。スポーツは全高を15mm低くし、スポーツサスペンションを装着

モデルチェンジしたAクラスのメインテーマは、ずばり、“スポーツ”、だ。そのことは、SLS AMGを手がけたフェザーストーンによるロー&ワイドなハッチバックデザインとして現れている。FFでありながら、ノーズとキャビンの存在をしっかりと印象づけており、これなら以前のAクラスと違って、Cクラス以上のFR上級主軸モデルたちにも無理なく連なることができる。

インテリアもメルセデスラインナップの中ではSL系の純スポーツラインナップに次ぐ溌剌とした雰囲気だ。基本的にBクラスのモチーフやディテールを応用するが、ヘッドレスト一体型のシートなど、このクラスにはあまり馴染みのないスポーティな趣向が採り入れられている。