切ない恋心を歌った詞に込められたメッセージ
私にとって、青春時代を思い出させてくれる1曲です。「祭りのあと」はサザンオールスターズのボーカル、桑田佳祐さんの5枚目のシングルとして1994年10月に発売されました。桑田さんにとって90年代最大のヒット曲となりました。夏の祭りのあとの静けさがもたらす寂しさと、片思いの切ない恋心のイメージが重なり合い、青春時代の記憶がよみがえります。ミディアムテンポで聴きやすく、エレキギターの音色とハスキーで力強い歌唱法もとてもマッチしていて、この曲のイメージにぴったりです。
桑田さんの歌詞にはたくさんの「言葉遊び」が見られますが、この曲も韻の踏み方が見事です。Aメロ・Bメロ・サビのそれぞれのパートの1番と2番で、限られた文字数の中できれいな押韻が登場しています。
さらに、片思いに悩む人へのメッセージも込められていて、
「フラれてもくじけちゃ駄目だよ」
「悪さしながら男なら 粋で優しい馬鹿でいろ」
といった歌詞からは女性も力をもらえるのではないでしょうか。
じつは、私はもともとサザンオールスターズや桑田さんの曲はそれほど好きではありませんでした。幼少期に聴いた「Ya Ya(あの時代を忘れない)」に哀愁を感じすぎてしまい、心が重くなってしまうことがあったのです。
ところがある休日の午後、家族でテレビを見ていたときに偶然この曲のビデオクリップが流れたのですが、コンサートで「祭りのあと」を歌う桑田さんの姿と曲の良さに思わず目も耳も釘付けになりました。甘酸っぱさを感じさせるメロディと歌詞で、初めて私の気持ちにストンと入ってきたようでした。
ちなみに、ビデオクリップはこの曲を歌う桑田さんのコンサートの映像が使われていて、シンプルながら印象的でした。それからは、サザンや桑田さんのソロの曲にじっくり耳を傾けるようになりました。あのとき、テレビでこの曲を聴かなければ桑田さんの曲の良さが分からないままだったかもしれません。