春の喜びだけでなく、寂しさや儚さも表現した名曲
1994年10月24日にリリースされた、松任谷由実の「春よ、来い」。私が小学生のときに合唱曲として使われた曲です(年がばれますね)。小学生にとってみればちょっと難解な言葉が多かったですが、大人になった今聞いてみると、とても美しい歌であることがわかります。
「春」と聞くと、冬から明けた嬉しさや楽しさを思い浮かべる反面、桜が散るようにどこか寂しさや儚さも感じるのが日本人。外国の方々には感じ取れない、わびさびの文化です。そんな和の心を、ピアノの旋律や歌詞で見事に表現しているのがこの曲だと思います。
その趣きをかもし出すのに一役買っているのが、歌詞が文語体で書かれていること。「淡き光立つ 俄雨(にわかあめ)」「春よ 遠き春よ」という、話し言葉ではなく書き言葉で歌われている点がその独特のニュアンスを生み出しています。
春や桜の歌は数あれど、どんなミュージシャンが奏でる春の歌よりも、この曲が一番、春のいろいろな面を映し出しています。そして同時にユーミンの奥深さも感じられる一曲です。