過去15年間の投資環境は
さて、100年に一度の金融危機のあった過去15年において、世界の金融マーケットはどのような変化をしたでしょうか?年ごとの騰落率を一覧表にしたものを、掲載しました。
1998-2012年の主要10資産騰落率
世界の主要10資産の中で、この15年間に騰落率でマイナスのものが二つあります。一つが日本大型株で、もう一つが米国株式です。
日本大型株は、最近の3ヶ月間で大きく回復してきました。この統計を取った2012年末でなく、いま(2013年3月)で見れば、立派なプラスになっています。このように10年超のロングスパンで見た場合に、劣っていたものはいつかぶり返し、好調だったものもいつか平凡に堕するのが資産のローテーションです。
その意味で、これから資産を作ろうとする人は、もう一つのマイナス資産の米国株式に注目していいと思います。米国株式はこの15年間は好調ではありませんでしたが、ドル円の為替相場が日本人にはマイナスに働いていたこともマイナスの一つの要因です。特に直近の5年間には30%超の円高が株価のプラスを打ち消してしまいました。
その為替の流れも今は逆向きに転換してしますし、アメリカの株価は2013年3月から史上最高を更新し続けています。ITバブルの崩壊、同時多発テロ、リーマンショックなどに見舞われた過去の米国株価ですが、これからは良いシーズンを迎えようとしています。長期的にはアメリカの時代が再び始まろうとしているのです。
私が、アメリカ株価に期待する根拠を3点だけ、ご紹介します。
アメリカの強み その1;イノベーションの精神
アマゾン、グーグル、アップルといえばアメリカを代表する優良企業ですが、この3社の共通項は何でしょうか?ITとお答えになるかもしれませんが、いずれも新興企業だということに意味があります。新興企業が世界の頂点に立つなど、日本ではありえません。アメリカ経済の強さは、このイノベーションにあります。固定概念に固執せず、挑戦を好み、失敗を怖れない思考は、アメリカ人の最大の強みです。それが技術や生き方を変えてきました。結果として経済が成長します。この精神、風土が生きている限り、アメリカ経済はこれからも世界をけん引していくはずです。
既得権益を持った者が、権威や慣例、法令をタテに変化を拒もうとする日本とは、大きな違いがあります。
アメリカの強み その2;シェールガス革命
シェールガスがエネルギーコストを劇的に引き下げ、世界の勢力地図をいっぺんに塗り替える可能性が、ようやく日本でも報道されてきました。これは現在進行中の事実であり、日本の企業もすでに対応(シェールガスの輸入や工場の米国進出)を始めています。その結果、世界の製造業はアメリカに戻ってくることになるでしょう。そうすれば、失業もなくなります。中東和平のために余計な軍事費を使う必要もなくなり、米国の世界戦略の自由度が大きく高まることが予想されます。
アメリカの強み その3;住宅市況の底打ち
アメリカ人の個人消費の中心は住宅購入です。それが、サブプライムローン問題が起きてからというものは、住宅価格が下げ止まらずに、差し押さえによる供給増と収入低下による買い控えで冷え込んでいました。その流れが底打ちしたことが、全米各地で確認されています。住宅の新築件数が増え始め、購入戸数や住宅価格も上昇を始めました。ところによっては過熱感まで出て来ているそうです。この4年間に押さえ込まれた購入エネルギーが開放されると、住宅だけでなく他の消費財にも良い影響が及ぶことが期待されます。
来年までにあと25%上昇する?
以上の理由により、アメリカ経済の回復は着実に進むと予想されます。長期の株式投資で有名なアメリカのジェレミー・シーゲル教授は「ダウ工業株価(NY株価)は2014年に18000ドルが十分あり得る」とまで述べているそうです(現在のNYダウは14412ドル2013年3月22日現在)。また、日本人にとっては関心の深いドル円レートも、過去5年間とは逆向きの回転を始めました。このままアメリカ経済が成長すれば、いずれ「強いドル」政策が再び打ち出されて、結果として円安がさらに進むことでしょう。
アメリカの株高、そしてドル高。この二つの恩恵を望むなら、今のうちにアメリカの株式市場に投資をしておいたらいいと思います。日米株価の復活という新しいドラマは、すでに開幕しているのです。