MVPとなったロビンソン・カノ内野手
WBCはドミニカ共和国がプエルトリコを下して初優勝となった
3月19日(日本時間20日)に行われたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝は、ドミニカ共和国がプエルトリコを3対0で下して初優勝。1次ラウンドから8戦全勝で頂点に上り詰めた。MVPには大会最多の15安打の打率.469、2本塁打、6打点と活躍したヤンキースのロビンソン・カノ内野手(30)が選ばれた。
「絶対に勝たなければならなかった。ドミニカで野球は生活の一部、食事するのと一緒だから」
試合後にカノがこう言えば、ペーニャ監督は「(準決勝で)彼が(自分たちは)ボール球に手を出し過ぎ。打席でもっと集中しようと声をかけてから、打線がよくなった」とヒーローを褒め称えた。
2005年、アレックス・ロドリゲス内野手とのトレードで放出されたアルフォンソ・ソリアーノ内野手(現カブス)の後釜としてメジャーデビュー。二塁の守備でポカを繰り返し、当時のジョー・トーリ監督からよく怒られた。天性で野球をやっていて練習嫌いだった男が、物凄い練習を自らに課し、2度(2010、12年)のゴールドグラブ賞を獲得するまでに成長した。打撃は昨年まで4年連続で打率3割、25本塁打以上をマークし、メジャー屈指の二塁手として不動の地位を築いた。今季の年俸が約13億5000万円のカノは、今季終了後にフリーエージェントとなるため、引く手あまた。「10年近い長期大型契約を勝ち取れるかが焦点」といわれ、ヤンキースも引き止めに全力を傾ける。
優勝チームの中にいた日本人スタッフ
侍ジャパンは、ドミニカ共和国と戦う前に力尽き、3連覇を逃したが、実はこの優勝チームの中に日本人スタッフが1人いた。百瀬喜与志コンディショニング・コーチ(40)だ。パイレーツでコーチをしている百瀬氏は、大リーグ機構の要請により1次ラウンドD組で戦った中南米選手を中心にサポートをしてきた。当初は同ラウンドのみの予定だったが、仕事ぶりが認められ、ペーニャ監督らがパ軍と直談判してその後も帯同することになった。
百瀬氏は長野県松本市出身で、日本体育大学2年まで捕手としてプレーし、卒業後は青年海外協力隊としてコスタリカにも行った。今回、最後まで主力選手を欠く事態も招かず、優勝に貢献。「機会に恵まれ、ドミニカの選手と一緒にやって野球のおもしろさを再認識することができた」と歓喜の輪に加わった。百瀬氏はパ軍在籍13年で1度も優勝経験がないため、初めてシャンパンファイトとなった。