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デトロイトに迫る財政破綻…「自動車の町」の末路(2ページ目)

かつて「自動車の町」としてアメリカ自動車産業の中心地となっていたデトロイトが、財政破綻の危機に瀕しています。

執筆者:All About 編集部


さらなる行政サービスカットに市民は耐えられるか?

現在、デトロイトの長期債務は総額が約140億ドル(約1兆3400億円)といわれており、これはデトロイトの歳入10年分近くに相当する金額。今後、これを削減していく計画を立てなくてはなりません。

財政赤字削減のためには、市民に提供する行政サービスの大幅カットや増税が求められます。行政サービスのカットとは、例えばただでさえ削減されている警察人員のさらなる削減。あるいは、学校の校舎の補修や給食の提供まで中止しなくてはならないかもしれません。道路や公園が一部破損していても修理せずに放置。あるいは市職員給与の大幅カットなどなど、さまざまケースが想定されます。

このような行政サービスのカットや増税は市民から大きな反発を受ける可能性があり、いくらミシガン州から権限を与えられているからといって、この反発は止められません。実際にオア氏就任に抗議するデモが、小規模ながらすでに起こっているといわれています。

既視感……「ミニ・ギリシャ」への道

今後オア氏が財政再建策を実行していくと、その反発はさらに強まると予想されます。もちろん市民が抗議やデモを行っても、オア氏を辞めさせる権限はありません。行政サービスがさらに悪化すれば、市民が次々とデトロイトから逃げ出す可能性だってあります。米国民なら、デトロイトから他の場所に引っ越すのは全く自由。市民が逃げ出してしまったら、税収が減り、財政状況はさらに悪化するでしょう。

この光景、どこかで見たことがあるような気がしませんか? ギリシャで起こっている事態によく似ています。ギリシャはEUやIMFから緊縮財政を要求され、年金カットや公務員の解雇など、市民生活が大きく圧迫されています。デモやストが頻発して、国を逃げ出す人々も多くいます。そのために、歳入がさらに悪化し、なかなか財政再建が進みません。

オア氏はデトロイトの財政再建という難題に取り組むわけですが、それは長く苦しい道のりになるでしょう。場合によっては、破産法第9条を申請してしまう道を選択するかもしれません。そうならないことを心から願うのみです。
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