スマートハウス・エコ住宅/エコ住宅のつくり方

世界基準のエコ視点が、住み心地を変える(2ページ目)

ドイツのエコ住宅視察を通じて「欧州と日本のエコに対する取り組みの違い」を実感。エコ先進国のドイツや欧州の状況からみえる「これからの日本でエコ住宅をつくる上で、絶対に知っておきたいこと」を5つの視点でお伝えします。今回は、その1です。

八納 啓造

執筆者:八納 啓造

幸せになる家づくりガイド


視点1)エコに対する世界基準の視点を身につける

■日本とEUのエコに対する考え方の違いとは?
現在の日本では、「どうすれば光熱費を減らして暮らすことができるか?」ということがエコの一般的な関心事です。前述したように「電気を賢く使う」というスマート化もその流れの1つです。

それに対して、EUなどの先進国の視点で省エネといえば、根本的に「石油、石炭、天然ガス、核燃料」などの枯渇性エネルギーの消費量を減らすことをいっています。枯渇性エネルギーとは、使えば使うほど資源が減少していくエネルギーの事をいっています。
リビングの吹き抜け空間全景

自邸のリビング。このような吹き抜け空間を作る場合、断熱性能、気密性能、換気計画などを綿密に練っておかないと光熱費は莫大にかかる


■なぜ再生可能エネルギーが大切なのか?
同時に「CO2排出をどれだけ削減できるか」に注目が集まっています。これらを実現させるために注目されているのが「太陽光、風力、水力、バイオマス」などの再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーというのは、文字通り、使っても基本減らず再生が可能なエネルギーことをいっています。また枯渇性エネルギーに比べて、CO2排出も大幅に削減が可能です。

出来る限り再生可能エネルギーを活用し、枯渇性エネルギーの消費を抑え、合わせてCO2の排出を抑える、これが省エネに対する基本的な考え方&視点です。

■日本はEUに対して10年近く遅れている
日本でも、認定低炭素住宅、ゼロエネルギー住宅、LCCM住宅などの省エネ施策を打ち出しました。基本的には、CO2排出を抑えていくことを目的にした施策です。一般の方には少し分かりづらいかもしれません。シンプルに「日本でも住宅を建設する上で、CO2排出削減に対して段階的に対応していこうとしている」と理解していただいてもいいでしょう。

そういった中、EUでは2021年にCO2排出が限りなくゼロに近づいた新築住宅しか建てられなくなる予定です。それに対し、日本では2030年頃に平均的な新築住宅にゼロエネルギーを取り込むことを目標にしています。目標なので、規制ではないところはEUとは違いますが、単純に比較しても約10年ほど、日本が遅れている状況です。

■脱原発を宣言したドイツは日本の少し先の未来像
ドイツでは、東日本大震災時の原発事故が発生した3ヶ月後に原発推進派だったメルケル首相が「2022年に脱原発」を宣言しました。そして、ドイツのフランクフルトでは、「フランクフルト単体でみると後3年で脱原発に到達する」と市当局の方から話しを聞きました。脱原発という視点でも日本は2030年を目標にしているのでやはり、ドイツは日本の10年近く先をいっています。そういう意味でも、ドイツの動向から学べることがたくさんあることでしょう。

このように省エネを考えるときは、日本独自の省エネへの取り組み情報と合わせて、ドイツなどの動向を世界基準の1つとして押さえていくことが、本当に私たちに必要なエコの形を把握する材料になります。

今後も、ドイツなどの情報と比較しながら、本当に知りたいエコの視点をお伝えしたいと思います。
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