電子マネー/電子マネーの選び方

交通系ICカード1枚で北海道から九州まで利用可能に

日本全国どこへでも手持ちの1枚の交通系ICカードで利用が可能になり、各地域でのショッピングを楽しむことができるようになりました。従来は、同地域のJRと私鉄などの相互利用にとどまっていましたが、PASMOでICOCAエリア、manacaでPASMOエリアといったように、どのカードでも各利用エリアの鉄道・バスに乗車が可能になります。

池谷 貴

執筆者:池谷 貴

電子マネーガイド

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10種類のICカードが相互利用可能に

全国相互利用サービスのシンボルマーク(出典:全国相互利用サービス開始のプレスリリース)

全国相互利用サービスのシンボルマーク(出典:全国相互利用サービス開始のプレスリリース)

2013年3月23日、全国の交通系ICカードの相互利用がスタートしました。交通系ICカードが1枚あれば、北海道から九州まで、全国の多くのエリアで鉄道およびバスの乗車が可能になり、20万以上の店舗で電子マネーが利用できます。

今回、相互利用を開始したのは、「Kitaca」(JR北海道)、「Suica」(JR東日本)、「PASMO」(パスモ)、「manaca」(名古屋交通開発機構/エムアイシー)、「TOICA」(JR東海)、「PiTaPa」(スルッとKANSAI)、「ICOCA」(JR西日本)、「はやかけん」(福岡市交通局)、「nimoca」(ニモカ)、「SUGOCA」(JR九州)の10事業者。

これまで限られた地域の鉄道やバスしか利用できなかったため、交通系ICカードを採用している地域でも旅行や出張時にわざわざ切符を購入する必要がありましたが、その手間はなくなります。鉄道52事業者4275駅の自動改札での入出場、バス96事業者2万1450台の乗降車、自動券売機でのチャージ等が地域や事業者に関わらず可能なため、旅行や出張が多い方にとっては現金を取り出す手間もなく、とても便利になるでしょう。

全国20万店以上の加盟店で電子マネーが利用可能に

例えば、関東地区でPASMOを使っている人はSuicaのエリアでも利用が可能でしたが、中京圏、関西圏、九州といったエリアにおいても1枚のカードで電車に乗れるようになります。

また、関西私鉄・バスで利用できるPiTaPaを除く9種類のICカードでは、電子マネーの相互利用も可能になります。利用者にとっては、全国20万以上の加盟店で電子マネーが使えるため、例えば東京から北海道への旅行時に、駅ナカの売店でSuicaを利用できるなど、キャッシュレスにつながりますね。

Suicaのシステムをベースに相互利用を図る

「交通系ICカード全国相互利用サービス開始 記念 Suica」(出典:JR東日本のプレスリリース)

「交通系ICカード全国相互利用サービス開始 記念 Suica」(出典:JR東日本のプレスリリース)

相互利用の実現の裏側のしくみはどうなっているのでしょうか。国内の交通系ICカードは、2001年にJR東日本が開始したSuicaがベースとなっています。Suicaは、ソニーが開発した非接触型ICカード技術である「FeliCa」を採用しており、2001年に日本鉄道サイバネティクス協議会が定めた「サイバネ規格」に準拠しています。相互利用を開始する他の交通系ICカードも同規格に準拠しているため、基本的な技術仕様が共通しており、相互利用を行いやすかったのですが、システム面等で各事業者間の摺合せが必要でした。各事業者では検討を重ねてきましたが、いよいよ相互利用が実現することになりました。

改札通過時は入金残高の注意が必要?

ただ、鉄道改札の通過時、中京圏のmanacaやTOICAは0円、関西のICOCAは1円といたように、最低運賃に満たなくても入場可能ですが、Kitaca、PASMO、Suicaエリアは乗車駅の初乗運賃分の残高が必要なため、注意が必要です。

また、TOICAエリアで乗車して九州のSUGOCAエリアで降りるなど、エリアをまたいだ利用は禁止されています。それに加え、札幌市営地下鉄の「SAPICA」、広島の私鉄「PASPY」など地方の私鉄・バス会社などが独自に発行する交通系ICカードは相互利用の対象外となっています。特に、独自のICカードを発行していないJR四国をはじめ、高松琴平電気鉄道の「Iruca」、伊予鉄道の「ICい~カード」など、四国エリアのカバーは待たれるところです。今後は、そういったエリアに広がり、全国どこでも1枚のカードで利用できる環境が整うことに期待したいですね。
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