圧迫骨折とは

外力の作用方向による骨折の分類で、比較的頻度の高い骨折の一種です。
 圧迫骨折

     圧迫骨折では縦方向に圧迫力が働きます。



圧迫骨折の年齢、性差、部位

中高年に多い骨折で、特に閉経後の女性、骨粗鬆症に伴う場合が大部分を占めます。しかしながら転落事故など外力が大きい場合、若年者でも発生します。脊椎の頻度が高いです。

圧迫骨折の症状

骨折した部位の腫脹と疼痛です。通常初期から激痛となることが多く、救急車で病院に搬送されることも多いです。骨折による脊髄の圧迫のため、筋力低下、知覚麻痺、直腸膀胱症状(便、尿の失禁など)などが発生することがあります。

圧迫骨折の診断

●単純X線
単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明をうけられるので、整形外科では必ず施行します。
腰椎単純X線側面像

            腰椎単純X線側面像

腰椎単純X線側面像 。第1腰椎に圧迫骨折を認めました。


圧迫骨折の予防法

●骨密度測定
容易に圧迫骨折を起こす病態として骨粗鬆症があるため、骨密度を測定します。X線、超音波などの測定法があります。

骨密度 < 0.8×YAM(若年成人平均値(20~44歳))
この若年成人平均値の80%未満の骨密度しかない場合で、
骨に異常がない場合、「骨量減少」と診断します。

さらに病的骨折やX線で骨粗鬆化を認めた場合で、
若年成人平均値の70%未満の骨密度しかない場合は
「骨粗鬆症」と診断します。

骨量減少、骨粗鬆症どちらの病態でも、尻餅をつく、転倒するなどの軽微な外力で圧迫骨折を生じます。

●骨密度低下の原因
閉経後骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症、甲状腺機能亢進症、性腺機能不全、壊血病、ビタミンA過剰症、ステロイド、メトトレキサート、ヘパリン、宇宙旅行、先天性骨形成不全症、Marfan症候群、関節リウマチ、糖尿病、肝疾患、飲酒、喫煙などが原因の可能性があります。

●予防法
まず骨密度低下の原因がはっきりしている場合、その原因に沿った治療を行います。閉経後骨粗鬆症の場合、エビスタが有効です。甲状腺、性腺などのホルモンの異常では、原因のホルモンを投与します。壊血病、ビタミンA過剰症では、原因のビタミンの投与や制限を行います。薬剤が原因の場合、その薬剤を中止、変更を考慮します。しかし病気によっては薬剤を中止できない場合もあるので、その場合は骨密度を増加させるビスフォスフォネート製剤の投与を選択します。糖尿病、肝疾患などの場合元疾患の治療を行います。飲酒、喫煙の場合、禁酒、禁煙で骨密度の改善が期待できます。禁酒、禁煙が難しい場合、ビスフォスフォネート製剤を投与します。

■エビスタ
選択的エストロゲン(女性ホルモン)モデュレーターとよばれる内服薬です。閉経後骨粗鬆症に適応があります。骨密度を上げる作用を持ちますが、子宮、乳腺では反作用として働きます。そのためこの内服薬を継続していると、子宮癌、乳癌の発生が少なく、心血管障害も減ることが証明されています。
・エビスタ(60mg)……1錠122.6円で、1日1回服用。ジェネリックはありません。静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症など)、長期不動状態(術後回復期、長期安静期など)、抗リン脂質抗体症候群、妊娠中、腎臓病、肝臓病、更年期障害のある方にはこの薬を使用することは薦められません。
副作用ですが、GOT上昇、GPT上昇、γ-GTP上昇、肝機能障害、静脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症、下肢疼痛、下肢浮腫、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、急性視力障害、良性の子宮内腔液増加、 ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、腹部膨満、嘔気、皮膚炎、皮膚そう痒症、乳房緊満、下肢痙攣、感覚減退、末梢性浮腫、ほてり、多汗、血小板数減少、血清総蛋白減少、血中アルブミン減少、血清リン減少、血中Al-P減少、血中カルシウム減少、膣分泌物、表在性血栓性静脈炎、体重増加、下肢疼痛、下肢浮腫、胎児に悪影響、流産、胎仔心奇形、心室中隔欠損、胎仔発達遅延、胎仔発育異常、波状肋骨、腎盂拡張、分娩遅延、分娩困難、出生仔生存率低下、身体発育分化の変化、発育分化抑制、下垂体ホルモン変化、出生仔におけるリンパ球組織減少、母動物死亡、産仔死亡、下肢痙攣、浮動性眩暈、失調、嘔吐、発疹、下痢、振戦、潮紅、Al-P上昇、子宮内膜厚増加、脳卒中、死亡、卵巣腫瘍、子宮内膜異常、子宮出血、性器出血などです。
実際この薬を長期間安全に服用されている方も多くいらっしゃいますので、閉経後の女性で問題となる合併症のない方は、かかりつけ医で採血などのチェックをしながらエビスタの服用をお勧めします。

閉経前の女性、男性には上記エビスタの適応はありませんので、別の薬剤が必要です。

■ビスフォスフォネート製剤
骨を溶かす破骨細胞の働きを抑え、骨の強度を増す薬です。
・フォサマック(5mg)……1錠105.1円で、1日1回起床直後に服用。ジェネリックは1錠66.6円です。
フォサマック(35mg)……1錠680円で、週に1回起床直後に服用。ジェネリックは1錠422.7円です。
副作用は食道穿孔、食道狭窄、食道潰瘍、食道炎、食道びらん、口腔内潰瘍、吐血、下血、貧血、嚥下困難、嚥下痛、胸骨下痛、胸やけ、口腔内違和感、口内痛 、胃・十二指腸潰瘍、出血性胃炎 、吐血、下血、貧血、上腹部痛、心窩部痛、上腹部不快感 、肝機能障害、黄疸 、GOT、GPTの上昇を伴う肝機能障害、黄疸 、低カルシウム血症 、痙攣、テタニー、しびれ、失見当識、QT延長 、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群) 、嚥下困難、胃酸逆流、鼓腸放屁、咽喉頭痛、咽喉頭不快感、嘔気、便秘、下痢、胃痛、胃炎、胃不快感、消化不良 、口内乾燥、腹痛、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、腹部不快感、口内炎、心窩部痛、胃重感 、紅斑、蕁麻疹 、発疹、かゆみ、脱毛、湿疹 、貧血(赤血球数減少、ヘモグロビン低下等)、白血球数減少 、血小板数減少 、肝機能異常(GOT上昇、GPT上昇、γ-GTP上昇等)、頻尿 、BUN上昇  、頭痛 、めまい、知覚減退 、骨痛、関節痛、背(部)痛、筋肉痛 、不眠 、血清リン低下、血清カリウム上昇 、ぶどう膜炎、眼症状(かすみ、異和感等)、強膜炎、血管浮腫、ほてり(顔面紅潮、熱感等)、動悸、脱力、発熱 、LDH上昇、CK(CPK)上昇 、総コレステロール値上昇、胸痛、けん怠、血清カリウム上昇、味覚倒錯、血清アルブミン低下、末しょう性浮腫、下肢痛などです。
胃が荒れやすいため朝起床時の服用が難しい方がいます。

・ベネット(2.5mg)……1錠113.2円で、1日1回起床直後に服用。ジェネリックは1錠71円です。
ベネット(17.5mg)……1錠711.4円で、週に1回起床直後に服用。ジェネリックは1錠401.2円です。
ベネット(75mg)……1錠2945.5円で、月に1回起床直後に服用。ジェネリックはありません。
副作用は上記フォサマックと同様です。月に1回の錠剤の服用の場合、通院回数、胃の荒れる回数も減らせるので患者さんの負担は少ないようです。

・ボノテオ(1mg)……1錠132.7円で、1日1回起床直後に服用。ジェネリックはありません。
ボノテオ(50mg)……1錠3433.4円で、月に1回起床直後に服用。ジェネリックはありません。
この薬もジェネリックがないので高価ですが、月に1回の服用で効果がみられます。
今後年1回の注射薬も登場する予定ですので、薬の投与が確実で、胃腸の副作用もないので、安心して治療をうけることが可能になる予定です。

■ビタミンD製剤
点ワンアルファ(0.5μg)……1錠43.3円で、1日1回、1から2錠を服用します。ジェネリックは1錠6円です。
副作用ですが、GOT上昇、GPT上昇、Al-P上昇、肝機能障害、黄疸、血清カルシウム上昇、急性腎不全 、食欲不振、悪心、嘔気、下痢、便秘、胃痛、BUN上昇、クレアチニン上昇、腎機能低下、皮膚そう痒感、結膜充血、嘔吐、腹部膨満感、胃部不快感、消化不良、口内違和感、口渇、頭痛、頭重、不眠、いらいら感、脱力感、倦怠感、眩暈、しびれ感、眠気、記憶力減退、記銘力減退、耳鳴り、老人性難聴、背部痛、肩こり、下肢つっぱり感、胸痛、血圧上昇、動悸、LDH上昇、γ-GTP上昇、腎結石、発疹、皮膚熱感、関節周囲の石灰化、化骨形成、嗄声、浮腫、高カルシウム血症、胎仔化骨遅延、性腺への影響、妊娠率低下、胎仔死亡率上昇、胎仔発育抑制、授乳力低下などです。

■カルシトニン製剤
骨量増加作用は弱いですが、鎮痛作用もあるため、圧迫骨折の予防、治療に使用されます。1回でも圧迫骨折を経験した方の、次の骨折予防としてこの薬が勧められます。
点エルシトニン(10単位)……1本565円で、週2回、10単位を筋肉注射するか、週1回、20単位を筋肉注射します。ジェネリックは10単位72円です。
副作用ですが、低カルシウム血症性テタニー、GOT上昇、GPT上昇、Al-P上昇、肝機能障害、黄疸 、ショック、アナフィラキシー様症状、血圧低下、気分不良、全身発赤、蕁麻疹、呼吸困難、咽頭浮腫、喘息発作 、しびれ感、口内しびれ感、低ナトリウム血症、低リン血症、腫脹、発汗、赤血球減少、ヘモグロビン減少、BUN上昇、Al-P上昇、乳房肥大、乳房痛、あくび、尿白濁 、過敏症、発疹、顔面潮紅、熱感、悪心、嘔吐、食欲不振、眩暈、ふらつき、疼痛、そう痒感、蕁麻疹、胸部圧迫感、動悸、血圧上昇、腹痛、下痢、口渇、胸やけ、口内炎、腹部膨満感、頭痛、耳鳴、視覚異常、かすみ目、発赤、頻尿、浮腫、咽喉部違和感、咽喉部ハッカ様爽快感、発熱、悪寒、脱力感、全身倦怠感 、下垂体腫瘍、血清カルシウムの急激な低下、テタニー様症状、乳汁分泌量が減少、新生仔体重増加などです。

■ビタミンK製剤
健康保険の適応はありませんが、骨代謝に必須なビタミンとしてビタミンKがあります。食事の中で摂取することが可能な成分ですので、骨折予防のためにビタミンKの摂取を心がけましょう。
・ビタミンKの多い食品……しそ、モロヘイヤ、ほうれん草、小松菜、のり、ひじき、日本茶(煎茶、抹茶)、紅茶、納豆などです。

■運動
これはあまり広くは知られていませんが、骨組織というものは力がかからないと急速に吸収され弱くなります。宇宙滞在で骨が脆弱化することは知られていますが、この事実から力のかからない状態では骨は弱くなること証明されています。
この運動という負荷ですが、実は散歩程度の力では骨を維持するには不十分であることが知られています。少なくとも、早歩き、体操、水泳、スポーツ、ダンスなど体にある程度の負荷のかかる運動が推奨されます。
例えば腰痛体操など、自宅で毎日可能ですので、日課として続けることをお勧めします。

腰痛体操

        腰痛体操。腰痛を軽減するだけでなく、骨を強化します。

腰だけでなく、脚の運動を強化すると、転倒を防止しながら、骨の強化が可能です。

脚の運動。

            脚の運動。転倒の防止となります。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項