ヴィーナスのような瑞々しい姿と歌声 「サラ・ブライトマン」
彼女を規定するのはとても難しい。有名なオペラの歌曲、”Naturaleza Muerta”を情感たっぷりに歌い上げたかと思えば、中東やアジアの民族音楽を思わせるオリジナル曲、“HAREM”で聴くものを惑わす。伝統的な歌曲から、ポップスに近いものまで、その心の赴くままにたゆとう魅惑の歌姫。それが、わたしにとってのサラ・ブライトマンです。彼女の名前だけならばずいぶん前から知っていましたが、CDを買い、昔の音源や映像を探し求めるようになったのは最近になってからです。そして探しているうち、不思議に思うことがあります。
彼女の昔の映像と、最近のCDジャケットやテレビなどで見かける姿を比較すると、その間には十数年の歳月が横たわっているはずなのに、最近の彼女の方が、断然美しい。天与の才をさずかった歌姫は、年をとらないのでしょうか。化粧技術の進化や洗練、そして現代技術の粋を集めた映像修正をほどこしたとしても、あの瞳の輝きや醸し出されるオーラ、それになにより張りのあるのびやかな歌声までもつくれるものでしょうか。
彼女は耳だけではなく楽しませてくれる、類まれなる歌姫です。ぜひ一度、ボッティチェリの描くヴィーナスのような瑞々しい姿と歌声をご覧ください。きっとあなたも魅了されてしまうことでしょう。