引退してもなお、相撲道に全てを捧げる貴乃花
もう引退して部屋を率いていますが、横綱貴乃花も現役時代、強かったと記憶しています。そして誰よりも相撲に対して研究熱心で、真面目すぎるほどまじめだったようにも思います。父親は大関貴乃花であり、伯父は第45代横綱若乃花。そして兄の若乃花も、後には第66代横綱になりました。サラブレットの常として、入門当初から異例の注目をあび、人気美人女優の宮沢りえさんと婚約した時などはまるで芸能人のごとく、毎日リポーターに追いかけられていたのを思い出します。
江戸は元禄の頃であれば、相撲取はいまのアイドル以上の人気を誇り、そのブロマイドともいえる錦絵が飛ぶように売れたと言われますが……。父親の名を継ぎ、伯父以上の力士になろうと精進していただろう貴乃花にとって、そんな人気で一時期相撲がおおいに盛り上がったのは、はたして良かったのかどうか。
横綱は負けこせば引退しかありませんが、彼の意外にはやく思えた引退は、そのなんでも突き詰めるまじめな性分のせいだったのでしょうか。
現在は部屋を率いるだけではなく、相撲協会の理事や大阪の地方部長、さらにはスポーツニッポンで評論をもし、やっぱりまじめに相撲と向き合っているのだなぁと微笑ましく思う、元横綱です。