ジャネット・リンが「銀盤の妖精」と呼ばれた理由
サラサラとしたキュートなプラチナブロンドのショートヘアに、チャーミングな笑顔。18歳で札幌オリンピック(1972)に出場し、あっという間に日本中のフィギュアスケートファンだけではなく、老若男女のハートをキュン!とさせてしまったのが、当時アメリカのフィギュアスケート界のエースとして活躍していた、ジャネット・リンさんです。氷上に彼女が登場すると、パッと太陽の光が差したように感じられるほど、明るく愛くるしい笑顔の持ち主で、オリンピック会場にいた全ての人々を魅了し「札幌の恋人」とか「銀盤の妖精」などと呼ばれました。
当時リアルタイムで観たのではないのですが、録画番組で観て、あまりにも強く印象に残ったのが、その1972年の札幌オリンピックでの演技。
今のようにスワロフスキーで飾った衣装ではなく、首もとの詰まったシンプルな赤い衣装なのですが、豪華な衣装よりも、かえって彼女の美しいブロンドの髪と笑顔を引き立てています。
スケーティングも、ジャンプとジャンプの間の滑らかさやスピード感が抜群。ひとつひとつのポーズも柔らかく美しく、解説の人も思わず溜息まじりに「天才的ですね」と語るほど。
ジャンプに入る前の助走が「さあ滑るぞ!」と気合いが入ったポースではないのも彼女の特徴で、まるで背中に見えない羽でも生えているかのように自然に軽やかに、ふわっとジャンプをする姿がとても魅力的です。
途中で、残念ながら転んで尻餅をついてしまうのですが、そのミスに顔を曇らせることもなく、笑顔でさっと立ち直り演技を続けた姿や、モチベーションの落ちないその強い精神力は会場の人々ならず、TVの前の人々も魅了されたそうです。
まさに、銀盤の妖精の名にふさわしい、テクニック力だけではない、持って生まれた「ギフト」の持ち主として、強く印象に残ったフィギュアスケーターです。