ブータン最古の寺院 キチュラカン
キチュラカンは、パロにあるブータン最古の寺院で、チベットを初めて統一したソンツェン・ガンポ王が7世紀に建てたものです。中庭には、神聖なみかんの木が植えられています。ソンツェン・ガンポ王はそれまでチベット全域に大きな力を持っていたポン教を仏教に変えるために、ポン教の神を悪霊とし、その体の108のツボにあたる場所に寺院を建立したとされます。キチュラカンはその左足にあたる部分だと言われています。
そのような歴史を持つキチュラカンですが、立地は落ち着いた場所で、建物もそこまで大きなものではありません。パロ・ゾンなどのあとに行くと、物足りなさを感じる方もいるかもしれません。しかし、ブータンでは重要な寺院として、愛されています。
その証拠が、旧堂の本尊が安置されている堂にあります。本尊に対面する場所にはぴったりと足がはまる二つのくぼみがあるのですが、参拝客が長年に渡りこの場所でお祈りを捧げ続けたためにできたものと言われています。
このくぼみの意味が分かると、キチュラカンがどんなに立派な建物よりも重みのある建物だと気づかされます。
歴史だけではなく、ブータンの人たちの思いも詰まったキチュラカン。ブータンを訪れる際は、必ず見に行くことをお勧めします。
ちなみに、中庭にあるみかんの木には、神聖な力によって守られ、一年を通して常にみかんがなっているそうです。