有事の金。欧米の経済が落ち着けば金価格は下がる?
金利が上がっても引き続き金は上がると田嶋さん!
「確かに、景気回復が進み米国の金利が上がりドルが強くなると、金が売られ、金価格が足踏み状態になる可能性があることも考えておくべきでしょう」と田嶋さん。
一方で、米国の中央銀行FRB(連邦準備理事会)では、雇用が回復するまでは量的金融緩和を続けること、低金利政策を当面続けることを発表しており、すぐさま米国金利の上昇は考えにくいのが実情です。「実は、米国がITバブル崩壊後、景気回復局面で2004年からFF金利(米国の政策金利)が上昇を続けた時期がありました。普通に考えれば金は売られ下落するのですが、実際はインフレリスクを回避するために金は買われ、価格上昇が続いたのです」(田嶋さん)。
今後も、同様に米国の景気回復期待が高まれば、金利の上昇、株価は調整しながらも上昇、金価格も上昇というシナリオになると田嶋さんは予測します。
金の希少性はますます高まり、金需要は減らない
なぜ、これほどまでに金の需要が高まっているのでしょう。金の希少性は以前から言われていたことですが、近年、その希少性がさらに高まっていると田嶋さんは言います。「金の最大の生産地である南アフリカやカナダの生産量が、前年比で4割減。それだけ採掘が非常に難しくなっているのです。現状は、その分を環太平洋地域での生産量が増加して注目が集まっていますが、全体の埋蔵量に限りがあるのは変わらない事実」(田嶋さん)
その希少性に拍車をかけているのは、各国が金の保有高を増やそうという動きにあります。各国の中央銀行は外貨準備の一部として金を保有しており、米国中央銀行では約75%、ドイツ約71%、フランス約67%といずれも高い保有率を示しています(いずれも2011年6月時点。ワールドゴールドカウンシル)。経済発展が目覚ましい中国はというと、わずか1.6%という保有率。「外貨準備のほとんどをドル買いで行っていた中国が、せめて日本並みの3~5%まで引き上げようとしており、これを実現させるには、万トン単位の金が必要」(田嶋さん)というのです。
中国に限らず、米ドルで外貨準備をしていた新興国でも同じような動きがありますから、その金需要の高まりは驚くべきものです。鉱山会社が生産する金の量は年間平均で約2500トンと言われていますから、金価格が上昇するのも自明の理。
金の埋蔵量が決まっていて生産も減少、需要は高まるなかで、ますます金の希少性は高まる一方。為替の動向、欧米経済の立ち直り、インフレ懸念……と金を取り巻く情勢は日々変化していますが、金自体が持つ価値が変わらない限り、この金価格の上昇は当面続くと言えるのではないでしょうか。
次のページでは投資スタイル別に使う金商品を考えてみましょう!
監修/田嶋智太郎(経済評論家) 取材・文/伊藤加奈子