今までは円高で世界的な金価格上昇の恩恵を受けられなかった

金はまだ買いなのか?

金はまだ買いなのか?

これまであまりにも長期にわたる円高の流れのなかで「金」に魅力を見いだせなかった人も多いでしょう。なぜ円高のときに、金の魅力が薄れると感じるのかといえば、世界的に金価格が上昇しても、日本はその恩恵をダイレクトに受け取ることができないからです。

そもそも、金の取引の中心は、現物はロンドン、金の先物はニューヨークの市場で行われているため、金価格はドル建てで決まります。日本国内の小売価格は米ドルから円建てになるため、為替の影響を大きく受けるのです。そのため海外市場で金価格が上昇しても、円高によって価格上昇分が吸収されてしまっていたのです。

「現在、日本国内で金取引が注目されているのは、為替が円安に向かっていることが大きな要因です。1gあたり5000円を超えてきたのは、世界的な金価格の上昇以上に、ドル高・円安の為替主導によるものと言えます」(田嶋さん)
データ出典/田中貴金属HPより。いずれも月平均の税抜き小売り価格

データ出典/田中貴金属HPより。いずれも月平均の税抜き小売り価格


国内金価格の転換点は2012年に起きていた

過去の金価格の推移をみると、ロンドン金価格も円建ての国内金価格も右肩上がりで上昇しているように見えますが、2008年にいったん金価格が下落しました。その後ロンドン金価格はすぐにV字回復し上昇に転じましたが、国内金価格はその上昇に追い付いていないのがわかります。特に、急激に円高が進んだ
2010年からはその差が広がる一方でした。

それが、2012年に入り円高感が一服したあと、国内金価格は急上昇を遂げています。ロンドン金価格に調整が入っても国内金価格は1g5000円台に突入し、その勢いは止まっていません。

「現在は、円高是正の第一段階と考えられ、今後さらに円安に向かえば国内の金価格の上昇余力は相当あるとみています」(田嶋さん)

次のページでは円安と金価格の関係を考えてみます!

監修/田嶋智太郎(経済評論家) 取材・文/伊藤加奈子



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