不変の基本スタイルに最新エンジンを装備
昨年8月にマイナーチェンジを受けたGクラスのハイパフォーマンスモデル。このG63AMG(1780万円)に加え、5.5リッターを積むG550(1340万円)と612ps/1000Nmを発生する6リッターV12ツインターボのG65AMG(3250万円)を用意
純粋なパーパスビルドツール(軍用など)として開発され、諸般の事情より、’79年から一般向けにも市販されてきたGクラス(=ゲレンデヴァーゲン)。デビューから30年以上たったモデルであることを、あらためて思い知らされる。
基本のスタイルは不変である。古めかしい。最強モデルのG63AMGそして65AMGには、いかにも豪気な面構えが与えられているけれども、カタチはやはり、古色蒼然としたものだ。扉と呼ぶ方がふさわしい平板なドアを開け、よじ上るようにしてキャビンの中へと入りこんでやっと、このクルマが最新モデルであることを知る。
センターコンソールやメーター、ステアリングホイールが、質実剛健な車内の雰囲気にアンマッチなほど新しいからだ。ここまで新しくしなくても良かったのに、と“古いものは古いままで”を期待してしまう筆者などは、ミスマッチな雰囲気に新鮮さを見いだしつつも、ちょっとガッカリもした。
着座位置はほとんどマイクロバスである。見渡す視界は、まるで周り全てを下界とみなして睥睨するかのよう。何の理由もなく、自分が偉くなった気分になってしまう。
細く四角いボンネットフードに収まるのは、最新のAMG製ユニット、5.4リッターV8直噴ツインターボである。最高出力544ps/最大トルク760Nmを誇る。もっとも、この上に例のV12ツインターボ搭載グレードもあるから、これくらいで驚いていてはいけないのだけれども、何はともあれ、最新AMGの主力エンジンを積む。ミッションは7ATだ。
もとより頑強な閉断面フレームをもつ。高性能パワーユニットを積むにあたり、専用チューンのスポーツサスと大口径ブレーキシステムで対応するのは、G55AMGが登場して以来のことで、もはや手慣れたもの。前375mmのローターを飲み込むため、チタニウムグレイペイントの骨太な5スポークアルミホイールは20インチにまで拡大された。ぱっくり口を開けたエアロバンパーや左右サイド出しのマフラーが物々しい、というか最早、禍々しい。