リアルな怖さに脅えさせ、親の言うことを聞かせるアプリ
今、話題になっている「鬼から電話」アプリ。親がアプリを設定して、子どもが言うことを聞かないときに使うそうです。鬼から電話がかかってくる!※イラストはイメージ
「下記の6つのシチュエーションから選択をします。
・言う事をきかない時
・寝ない時
・歯磨きをしない時
・お片づけをしない時
・痛くて泣きやまない時
・お薬を飲まない時」
子どもが言うことを聞かないときに、親が、鬼から電話がかかってくるように設定するものです。実際に、着信音がなり、鬼やお化けのアニメーションとともに、通話が始まります。いうことを聞かないなら、鬼やお化けが「家に行っても良いんですか?」などと脅すわけです。
子どもは恐怖におびえて、その瞬間に言うとおりにするので、親から見ると効果てきめんということ。子どもへの影響をよく考えずに、利用している方もいるのではないでしょうか。
そもそも、子どものしつけとは
この6つのシーンは、イヤイヤ期の子どもによく見られること。つまり言葉がわかるようになり、自己主張が出てくる2~3歳児が中心でしょう。サンタさんを信じて疑わない年齢の子どもたちです。絵本や昔話などとは違って、実際に電話がかかって来て、子どもに語りかけます。とても怖いアニメーションは、小さな子どもにとって、虚像とは思えないでしょう。リアル感が強いから信じてしまい、怖いから従うわけですが、恐怖を与えて従わせるのは、体罰を与えて従わせるのとの変わらないのではないでしょうか。
幼い子はもちろん、年中さん、年長さんでもトラウマになってしまって、電話の着信音がなっただけで、泣き出す子もいるそうです。それでは、自発的にすることにはならず、いい行動を学ぶことはできないでしょう。
とくに気になるのは「痛くて泣きやまない時」。痛くて泣くことは、自分の危険を知らせることにもつながります。「痛くても泣くな」というのは、自分の気持ちを表してはいけないと抑制してしまうこと。自分の気持ちを表現できる、自分の気持ちを伝えられる人になることが、難しくなるでしょう。