薬とトクホ以外の食品は、効果をうたえない
健康増進法(第32条の2第1項)では、食品として販売する物に関して、広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項 (次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならないとされています。食品は薬とは異なりますので、「効果・効能」をうたうことはできません。以前の記事「今時の健康食品によるトラブルを防ぐために」でも、健康食品の違法表示については取りあげましたので、詳しくはお読みください。
しかし、震災以降放射性物質を排出できる食品などについては様々なメディアで取りあげられたり、医師による著書等もあります。確かにヨウ素やカリウムなどのように、放射性物質と似たような働きがあるために予防的にとっておくと蓄積を防ぐとされるものはありますが、ヨウ素なら放射性ヨウ素にさらされる24時間前に飲む等の条件があります。
また具体的な臨床例は少ないものの抗酸化成分やビタミンCなどが生体防御に役立つのではいなかと考えられていますが、それを含む食品を食べた場合に、どれだけの量を食べれば効果があるのかなど、まだまだ明確になっておらず、検証が必要な段階です。
放射性セシウムの排出には、プルシアンブルーという薬が効果があり認可されていますが、高濃度の放射性セシウムを取り込んだ場合に効果があり、今回の原発事故では飲む必要がないとされています。(放射性被ばくに関するQ&A)
ガイドは、震災以後数回にわたり食品安全委員会や県主催の放射性物質についてのリスクコミュニケーションなどに参加しました。食品安全委員会の解説者に、「体内に蓄積された放射性物質を排出できる食品」はあるのかどうかを尋ねたところ、今の段階で科学的に効果があると明らかにされたものはないという返答でした。