オールアルミモノコックボディで大幅な軽量化
軽量化こそ、自動車開発における最大の命題。少しでも軽く作ることが、環境性能と絶対性能をともに引き上げること=両立に繋がる。だから、こんどのレンジローバーが、実に200kg近いダイエットに成功したとはじめて聞いたとき、これは実際に乗るのが楽しみだ、と思ったものだった。背の高いクルマには日頃まるで興味がないにも関わらず……。そもそも2トンを超える巨体である。冷静に考えれば、200kgといってもたかが一割、なわけだけれど、まわりの大型クロスオーバーSUVの車重をみても判るとおり、重くなるにはそれなりの理由があってそうなったわけで、肉体改造の難しさは、80kgのわが身と同じ、であろう。
ボディサイズは全長5005mm×全幅1985mm×全高1865mm。オールアルミ製モノコックボディは従来のスチールと比べ、シェルだけで約180kgの軽量化を実現。NAモデルでは旧型比で190kgの軽量化を果たしている
肉体改造に成功した新型は、しかし、威風堂々たる、いかにもレンジローバーらしいスタイリングに進化した。短いフロントオーバーハングに、切れ上がったリアハング、両端をつまみあげた眩むシェルボンネットや、特徴的なフローティングルーフ、といったレンジローバー伝統の世界観を随所に散りばめつつ、空力改善にも積極的に取り組むなど、モダンに磨きあげたのだ。
インテリアにも、伝統と先端技術の融合がみえる。ウッドとアルミ、そしてレザーハイドといったマテリアルの組み合わせやそのデザインは正しく“ラグジュアリィ”のひと言だが、機能装備や各種ディスプレイ、オーディオなど、その構成要素は最新レベルにアップデートされている。
なかでも注目すべきは、シャシー制御システムの数々だ。レンジローバーといえばエアサスペンションだが、4輪クロスリンク方式の第5世代へと進化をはたしたし、4WD制御もオート機能をメインとしたテレインレスポンス2オートへと発展した。そのほか、最新モデルらしく様々なドライバーアシスト機能も装備する。