ばね指とは
ばね指は手の炎症性疾患の一つの腱鞘炎が進行して指がのびなくなる病態です。通常は手を繰り返し使用することにより、機械的な刺激が腱周囲組織に加わり炎症を起こしてしまいます。腫大した屈筋腱が腱鞘にひっかかることにより指が屈曲したままの状態となることがばね指です。
ばね指の原因
手を反復して使用することがほとんどの原因です。それ以外の原因として、関節リウマチ、結核、細菌感染が原因の化膿性腱鞘炎などがあります。小児に多い母指のばね指の場合、原因は不明です。ばね指の症状
炎症症状として、発赤、熱感、疼痛、腫脹が使用した腱に一致して見られます。また、弾発現象(腱が屈曲した後に伸展しなくなる状態)がみられることがばね指の特徴です。ばね指。手の指が伸びない状態。
ばね指の診断
上記のような肉眼的診断、手の診察でばね指の診断は確定します。ばね指の種類
■屈筋腱腱鞘炎(クッキンケンケンショウエン)……手の指と手掌(テノヒラ)の境目にあるMP関節に生じやすく、通常成人にみられます。■小児の屈筋腱腱鞘炎……生後1歳ぐらいまでに発症し、母指に多いです。
ばね指の治療法・薬・副作用
■鎮痛薬必要に応じて鎮痛薬を使用します。ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬( NSAIDと省略されます )です。
ボルタレン……1錠15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、急性腎不 全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋筋融 解症、脳血管障害胃炎。
ロキソニン……1錠 22.3円で1日3回食後に服用、副作用はボルタレンと同様。
どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。5年間、10年間の長期服用で腎機能低下などの副作用があ りますので、注意が必要。稀に血液透析が必要となる場合もあるので、漫然と長期投与を受けることはできる限り避けて下さい。
鎮痛薬の問題点は数ヶ月以上の服薬で胃腸症状、腎機能低下が高率に発生しますので、急性期を過ぎたら主治医と相談し、減量ないし休薬を考えましょう。
■ステロイド注射
炎症のある指にケナコルトなどのステロイドを直接注射します。注射に痛みを伴いますが、効果はかなり確実でしかも長期間持続します。
ステロイドを直接腱鞘内に注射します。
■腱鞘切開
上記の保存的な治療でコントロールできない場合、手術を行います。成人の場合は入院は必要ありません。局所麻酔で30分間程度の手術です。
小児の腱鞘炎は6~7歳ぐらいまでに治癒しますが、治癒しない場合入院して全身麻酔で手術を行います。入院は3日間程度の短期間の病院が多いです。
手術は腫大した屈筋腱の周りの腱鞘を切開します。