大胆な金融緩和の導入は先送りか?
預金金利はどうなる?
注目された金融政策決定会合では、「2%の物価上昇率目標の導入」、2カ月連続の金融緩和として「期限を定めない資産買入れ方式の導入」が決定されました。詳細は専門家に譲として、期限を定めない資産の買入れについて大まかに見てみることにしましょう。
今回の金融政策決定会合での注目は「期限を定めない資産買入れ方式の導入」になりますが、実施されるのは2014年1月からなので約1年近くも先の話です。毎月、長期国債2兆円程度、国庫短期証券10兆円程度、総額13兆円の買入れを行う予定なので、1年間に156兆円買い入れることに建前上はなります。すごい金額の金融緩和を行うな!と思われるかもしれませんが、2014年中に基金の残高は10兆円程度しか増えない(総額111兆円程度)、言い換えれば1年間で10兆円しか金融緩和しないことになるのです。なぜなら、買い入れている国債等は毎月満期償還を迎えるものがあるため、表面上は大胆な買入れに見えても、実質は今までの延長に過ぎない金額なのです。
預金・貯金金利は現状維持が続く
見掛け上の大胆な金融緩和の導入、下げようと思えば下がられるのに今回は手をつけなかった日本銀行の超過準備(当座預金)の付利引き下げ・撤廃が見送られたことから預金・貯金金利のさらなる低下は回避されました。日本銀行の超過準備の付利とは、金融機関が日本銀行にお金を預けると、0.1%の金利が付くことになっているのです。私たちが預ける預金金利は、普通預金で0.02%程度、1年定期で0.025%程度(平成25年1月23日現在)ですから、私たちから預かった預金を日本銀行に預けることで、労せずして金融機関は利ザヤを確保することが出来るのです。金利にすれば大したことはないように見えますが、リスクを全く取らず収益が確保できるのですから、余剰資金がたくさんある金融機関ほど旨みがあるといわけです。
この超過準備の0.1%の引き下げ・撤廃が行われない限り、私たちが利用する預金・貯金金利が引き下げられることはないでしょう。残念ながら預金金利は上がることは皆無に等しく、よくて現状維持なわけですから、今後も金融政策の方法が前例のない方法に踏み込まなければ、超過準備の引き下げがあるのか否かに注目すればよいことになります。
また、目標通り物価が上昇して行くかにもこれからは注意を払わなければなりません。これまではデフレだったために、お金の価値が目減りすることはありませんでしたが、今後は脱デフレに変わるわけですから、最低でも物価の上昇率以上の収益を確保しなければならなくなるからです。
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