北京世代の梶山がギリシャへ

FC東京で長くプレーしたMF梶山陽平は、ギリシャのパナシナイコスへ移籍した。1985年9月生まれの27歳は、2008年の北京五輪で本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)、長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)、内田篤人(シャルケ/ドイツ)らとともにプレーしている。Jリーグでの実績を踏まえても、年齢的にも、ヨーロッパ行きの機は熟した、というタイミングだ。

ギリシャリーグのレベルは、イタリア、ドイツ、イングランドなどに及ばない。ヨーロッパの中堅といった位置づけだ。とはいえ、梶山のパナシナイコスは国内屈指の強豪である。勝利を義務づけられたなかで、外国人選手としてどこまでチームに貢献できるのか。難しいがやり甲斐のあるチャレンジと言えそうだ。

昨季まで清水エスパルスに在籍したMF大前元紀は、ドイツ・ブンデスリーガのフォルトゥナ・デュッセルドルフの一員となった。先週末に再開されたリーグ戦では後半途中から出場し、新天地でのデビューを飾っている。

さらに、日本代表GK川島永嗣が所属するベルギーのスタンダール・リエージュに、二人の選手が加入した。永井謙佑(名古屋グランパス)と小野裕二(横浜F・マリノス)である。

89年3月生まれの23歳の永井は、昨夏のロンドン五輪でベスト4入りに貢献した。爆発的なスピードは、国際舞台でも十分に通用する。彼のヨーロッパ行きは、ある程度予想の範囲内だった。

一方、永井と同じ89年12月生まれの大前は、ロンドン五輪に出場していない。92年12月生まれの小野も同様である。どちらも前所属クラブでは攻撃の中核を担ってきたが、国際的な実績はゼロと言っていい。

そうした選手に、ヨーロッパのクラブが注目する理由はなぜか? 理由は複合的なものだ。


日本人選手のブランド力がアップ

ひとつ目の理由は、日本人選手のブランド力だ。大前が加入したドイツ・ブンデスリーガでは、1部だけで9選手がプレーしている。しかも、どの選手もコンスタントに出場機会を得ている。組織のなかで機能できる日本人選手は、国民性が近いドイツのサッカーに馴染みやすいのだ。

加えて、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)へ移籍した香川真司の成功により、日本人選手の評価が高まったのは大きい。日本人は獲得に必要な資金が高くないため、クラブ側からすれば手を伸ばしやすいところもある。
2010年夏にドイツへわたった当時の香川は、ワールドカップに出場した経験もなく、日本代表にも定着していない21歳だった。香川だけではない。確固たる実績を築いてドイツへわたった選手は、むしろ少数派である。そう考えると、日本代表に選出されていない大前も、早過ぎる移籍ではないのだ。

永井と小野が加入したスタンダール・リエージュには、日本代表の守護神である川島が所属している。彼からもたらされる永井や小野の情報は、クラブにとって信頼度の高いものだ。GKとフィールドプレーヤーでポジションは違うとはいえ、川島が築いたクラブ内での信頼感も、新たな日本人選手を迎え入れる土壌となったに違いない。

リーグのレベルは、ギリシャと同じくヨーロッパのミドルクラスだ。環境に適応さえすれば、日本人選手でも十分に渡り合える。その意味でも、川島という相談相手がいることは、永井と小野に心強い。


待たれる森本の復調

ヨーロッパから離れた選手もいる。
イタリア・セリエAでプレーしてきた森本貴幸が、中東・アラブ首長国連邦(UAE)のアル・ナスルへ期限付き移籍したのだ。

ザックことアルベルト・ザッケローニ監督の日本代表で、森本は有力なレギュラー候補のひとりだった。だが、度重なるケガで十分にアピールできず、ここ最近は代表に招集されないことも珍しくない。所属クラブでも不遇をかこっていた。

日本代表のFW陣に目を移せば、ハーフナー・マイク(フィテッセ/オランダ)も李忠成(サウサンプトン/イングランド)も、所属クラブで定位置をつかめずにいる。ザックは前田遼一(ジュビロ磐田)を頼りにしつつ、本田圭佑のFW=1トップ起用にも踏み出している。それだけに、森本の動向はザックも注目しているはずだ。

3月下旬には、中東のヨルダンでワールドカップ最終予選が控えている。6月にはコンフェデレーションズカップで、ブラジル、イタリアらと対戦する。日本代表にとっても、森本の復調は待たれるところだ。


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