故人の霊を船に乗せて極楽浄土に送る「精霊流し」
毎年8月15日の夜に行われる長崎の夏の風物詩が「精霊流し」です。初盆を迎えた故人の霊を船に乗せて西方浄土に送り出すお盆の伝統行事で、長崎市内をはじめ海沿いの長崎県各地で行われます。長崎市内では、夕闇が迫るころ、街のあちこちで鉦の音が聞こえてきます。そして、街中が闇に包まれるとともに、精霊船に提灯の明かりがともり、人々の掛け声と、激しい爆竹の音と白煙、火薬の匂いに覆われます。
故人の霊を運ぶ精霊船は、「流し場」と言われる終着点まで曳かれていきます。船の周りには、家紋入りの提灯を持った喪主を先頭に、町の提灯を持つ人が続き、さらに、長い竿の先に、趣向を凝らした灯篭をつけた「印灯篭」と呼ばれる目印を持つ人、鉦を打つ人、その後には揃いの法被を着た人たちが続きます。
精霊船は、盆提灯や造花、さらには、大漁旗や千羽鶴で華やかに飾られます。こうして、亡き人を偲んでそれぞれに工夫を凝らした船が街中を、爆竹の音とともに賑やかに進んで行くのです。精霊船の大きさは様々で、1~2メートルのものから、船を何艘も連ねた50メートル近い長さのものまであります。
長崎の精霊流しは、さだまさしのヒット曲「精霊流し」で、全国の人々に知られるようになりました。しかし、曲のしめやかなメロディーとは異なり、実際には実に賑やかな伝統行事で、異国文化にも通じる長崎ならではの独特の迫力があります。
■長崎 精霊流し
開催時期:毎年8月15日の夜
電話(長崎市役所):095-822-8888
URL(長崎市):http://www.city.nagasaki.nagasaki.jp/