争いは上級裁判所へ
連邦地裁の判決は10月末に出ましたが、この争いは上級の裁判所である連邦高裁に移っています。連邦高裁の最初の口頭弁論は2月末にあり、少なくともそれまではデフォルトすることはないと見られています。しかし、連邦高裁でも債権者側の訴えが認められると、その後デフォルトの可能性はさらに高くなります。
世界経済に対する2つのリスク
アルゼンチンのデフォルト騒ぎは、今後の世界経済に対して2つのリスクを投げかけています。1. アルゼンチン国債を保有する金融機関
アルゼンチンは2001年にデフォルトしたとはいえ、その後再び国債を発行して売り出しています。現在世界のどこの金融機関がどれだけの国債を保有しているのかは不明です。
しかし、アルゼンチン国債がデフォルトすると、国債を保有していた金融機関や自治体などは、その分を損失として計上しなくてはいけなくなります。そうなると、ただでさえ危うい状態にある世界経済は、厳しい状態に追い込まれるでしょう。
2. ギリシャ国債の債権放棄
ギリシャ危機はすでに表面化してから3年ほど経ちますが、最近ようやく少し落ちついてきたように見られます。ギリシャの失業率は26%以上と極めて高いものの、ギリシャのデフォルト・ユーロ離脱については、最近あまり言われなくなりました。
しかし、ここに来るまで、ギリシャは何度も債権者に対して債権の一部カットを行っています。当然ながら、その中には一部カットに応じなかった債権者も存在しています。
今回アメリカでアルゼンチン国債に関する債権者の訴えが認められると、ギリシャ国債の債権カットを拒否した債権者も、同じように訴えを起こす可能性があります。となると、ギリシャ危機も再燃することになります。
VISTAの一角だったが……
アルゼンチンは「VISTA」と呼ばれる、BRICsに続く次の新興成長国の一角として将来が期待されていました。そのアルゼンチンもデフォルト危機で将来に暗雲がかかっています。今後の世界経済のためにも、デフォルトが極力避けられるようになることを願ってやみません。